1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671972
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
後藤 真一 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助手 (10105504)
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Keywords | 金合金 / パラジウム含有合金 / 銅含有合金 / 融点 / 耐変色性 / 機械的性質 |
Research Abstract |
この研究は、接着ブリッジ用高強度合金を開発するための基礎資料を得て、次年度で行う実験用合金の最適組成を推定することを目的として行った。実験に使用した合金は、パラジウム10,20,30,40,50wt%,銅10,20,30,40wt%を含み残量を金とする20種である。1種につき20gの合金を、アルゴン雰囲気の石英管内で高周波誘導加熱装置により溶製した。示差熱分析装置により各合金の固相点・液相点を測定した。実験に用いた合金の固相点は,983℃から1322℃まで、液相点は1033℃から1386℃まで変化し、銅含有量の少ないほど、パラジウム含有量の多いほど、固相点・液相点が高くなった。歯科精密鋳造法に準じて、厚さ1mm、幅15mm、高さ20mmの試験片3枚を一塊として鋳造した。X線回折装置により各合金のAS CASTにおける金属相を調べた。合金の硬化に主として寄与している金属相は、示差熱分析に現れた相変態温度・X線回折の結果からPdCu相と考える。AS CASTにおける試験片のビッカース硬さおよび0.1%硫化ナトリウム溶液中に3日間全浸漬したのちの合金表面の明度L^*ΔL^*を測定した。各合金のビッカース硬さは63.2〜319まで変化していた。このことから100kgf/mm^2以上の引張強さを持つ組成があることが推定できた。合金表面の明度L^*は70.5〜74.6まで変化していたが全系にわたって耐変色性のよい合金であることが分った。ΔL^*は0.4〜4.6まで変化し、銅の含有量が30wt%以上で大きくなることが分った。試験片(約3g)を用いて個体試料比重測定装置により、各合金の圧延加工前と後の比重を測定し、鋳造欠陥発生率を比較しようとしたが予定した試験片が小さく、圧延加工前と後の合金間に差を見いだすことができなかった。以上のことから最適と考えられる組成範囲を推定すると、70〜50Au-20〜30Cu-10〜20Pdの組成となる。しかし、歯科鋳造用合金としては液相点が高く第四の添加元素を加える必要があると考える。
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