1995 Fiscal Year Annual Research Report
上顎顎義歯による上顎欠損部閉鎖度および顎義歯口蓋部床形態が発音に及ぼす影響
Project/Area Number |
06671981
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Research Institution | OSAKA DENTAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
南 正高 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (80148460)
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Keywords | 顎顔面補綴 / 上顎顎補綴 / 顎義歯 / 音声 |
Research Abstract |
目的:上顎顎補綴患者の治療の目的として、発音・咀嚼・嚥下など口腔主機能の低下あるいは障害の回復がある。そのためには、上顎実質欠損部の十分な閉鎖が必要であり、補綴学的には顎義歯を適用する。そして、その顎義歯による治療効果を評価するためには、顎義歯装着後の上顎欠損部閉鎖度の定量的評価と発音機能改善度の評価が必要である。そこで、本研究では、上顎顎義歯装着患者の、発音機能回復度を診療室内で評価することを目的として検討を加えた。 方法:鋭指向性、単一指向性両用マイクおよびMD(ミニディスク)を用い、 1)正常有歯顎で日本語発音に異常を認めない成人による(以下、正常者)、日本語短文「さくらのはながさきました」の朗読を無響音室内にて鋭指向性、単一指向性の両モードでデジタル録音。 2)正常者および上顎顎義歯装着患者による、同日本語短文の朗読を大学病院補綴科診療室内にて録音。 3)硬口蓋両側欠損顎補綴患者の顎義歯口蓋部床形態を変化させた場合の日本語短文朗読を録音。 4)以上の録音データに対し、聴覚障害のない成人5名による発語明瞭度の分析およびパーソナルコンピュータによる分析。 結果および考察 1)正常者 (1)無響音室:鋭指向性および単一指向性両モード間には音声波形に差異は認められなかった。 (2)診療室:鋭指向性、単一指向性両モードともに種々の診療室内雑音を認めた。しかし、両モードを比較すると単一指向性の方が雑音採取は少なく、診療室内での音声録音には単一指向性マイクロフォンが適していると思われる。 2)上顎顎義歯装着患者 (1)録音データに対する発語明瞭度は、良好であった。これは、顎義歯による良好な口蓋鼻腔閉鎖度が得られていた結果であると思はれる。 3)硬口蓋両側欠損における顎義歯口蓋部床形態と発音機能について 口蓋部床形態を変更可能な顎義歯を作製した時点で、残念ながら患者が死亡。したがって、研究を中断。
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