1994 Fiscal Year Annual Research Report
口腔悪性腫瘍および前癌病変における癌抑制遺伝子異常の検索
Project/Area Number |
06671991
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
成川 芳明 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (30260475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 研一 千葉大学, 医学部, 教授 (40009139)
高原 正明 千葉大学, 医学部, 講師 (90143297)
丹沢 秀樹 千葉大学, 医学部, 講師 (50236775)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 癌抑制遺伝子 / APC遺伝子 / LOH |
Research Abstract |
APC遺伝子は、5番染色体長腕上に位置し大腸癌において早期に異常を起こす癌抑制遺伝子であり、最近では胃癌や膵癌、および食道癌においてもAPC遺伝子の変異が確認されている。しかし、口腔扁平上皮癌における本遺伝子の異常は報告されていない。本研究では口腔扁平上皮癌におけるAPC遺伝子の変異を解析した。 【材料および方法】試料は、口腔扁平上皮癌組織(24例)から抽出したDNAを用い、コントロールには各患者の正常組織のDNAを用いた。検索領域はAPC遺伝子のexon8からexon15までを18区画に分け36種のプライマーを使用し、PCR-SSCP法による解析を行った。PCR-SSCPにより異常の認められた試料に関しては、塩基配列を決定し変異を同定した。また、exon11におけるpolymorphismを利用したPCR-LOH assayを行い、口腔扁平上皮癌におけるAPC遺伝子のLOH(loss of heterozygosity)も検索した。 【結果】PCR-SSCP法にて、24例中3例に異常なバンドが認められた。塩基配列解析の結果、ミスセンス変異が2例、ナンセンス変異が1例認められた。またPCR-LOH assayでは24例中11例にpolymorphismが認められ、そのうち8例にLOHが認められた。さらに、APC-LOHは、高分化型扁平上皮癌で高率に検出された。 【考察】本研究で口腔扁平上皮癌においてもAPC遺伝子異常が確認され、口腔扁平上皮の癌化の過程においてもAPC遺伝子異常が関与していることが推測された。 以上の研究結果は、論文としてまとめられ、International Journal of Cancer,58巻,p814-p817,1994に掲載された。
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