1995 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成因子添加ポリ乳酸スクリュウによる下顎枝矢状分割後骨折合法の開発
Project/Area Number |
06671995
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Research Institution | Tokyo Medical & Dental University |
Principal Investigator |
原田 清 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (30228639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 敬子 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (70236537)
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Keywords | 骨形成因子 / ポリ乳酸スクリュウ / 顎変形症 / 下顎枝矢状分割 / 骨接合 |
Research Abstract |
ポリ乳酸スクリュウによる下顎枝矢状分割後骨接合を施行した症例は10症例でその短期経過観察結果については第48会日本口腔科学会総会、また長期経過観察結果については第5回日本顎変形症学会において発表した。それによると有意差は無いもののチタンスクリュウと比べてポリ乳酸スクリュウで骨接合を行った症例で、長期短期ともに後戻りが大きい傾向がみられた。この原因として、ポリ乳酸スクリュウの物理的強度が劣ることが考えられた。有意差は無かったとはいえ後戻り傾向が強かったという結果は、今後ポリ乳酸スクリュウを顎変形症症例に応用する場合には、適応症を選択する必要がある可能性を示唆している。つまり、移動量の大きい症例や著しい非対称症例には、後戻りの観点からポリ乳酸スクリュウによる骨接合は適さない可能性があるということである。この詳細については近く論文発表予定である。また骨形成因子-ポリ乳酸複合体の開発では骨形成因子とポリ乳酸を超音波を用いて混合し凍結乾燥すると良好な骨誘導能を有する複合体となることが判明し、その詳細をJournal of Oral and Maxillofacial Surgery Vol.52(1994)に既に発表した。 人体におけるポリ乳酸スクリュウによる下顎枝矢状分割後骨接合法の確立とその術後評価、および骨形成因子-ポリ乳酸複合材料の開発については研究成果をあげることができたが、残念ながら骨形成因子を添加した下顎枝矢状分割後骨接合用のポリ乳酸スクリュウの開発にまでは到達することができなかった。その要因は、下顎枝矢状分割後の骨接合に耐え得る強度を有する骨形成因子添加ポリ乳酸スクリュウの開発が難しいという点である。本研究で用いたポリ乳酸スクリュウは術後2年を経ても外表から触知することが可能で、少なくとも埋入後2年では完全に分解吸収されないことが明らかになっている。強度を増やせば必然的にそこに含まれる物質が分解溶出されにくくなるため添加された骨形成因子の作用は減弱する。かといって後戻りの観点から、本研究で使用したポリ乳酸スクリュウの強度をこれ以上低下させるわけにもいかない。難問であるが、この点を解決することが今後の課題といえる。
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