1995 Fiscal Year Annual Research Report
関節鏡視下手術後の顎関節腔内形態の変化に関する基礎的ならびに臨床的研究
Project/Area Number |
06671998
|
Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
大月 佳代子 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (20185325)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 正秀 山梨医科大学, 医学部, 助手 (70262665)
大西 正俊 山梨医科大学, 医学部, 教授 (50014139)
|
Keywords | 関節腔 / 滑膜瘢痕 / 線維性癒着 / 関節腔狭窄 / 関節腔閉鎖 / 関節鏡視所見 / CT二重造影 / 開閉口訓練 |
Research Abstract |
1)サル顎関節における関節腔内,鏡視下手術後の形態変化 日本ザル3頭6顎関節の3か月,6か月,12か月の経過観察から術直後の軽度〜中等度の外傷性変化が手術創以外の部分にもみられる。次いで経時的にそれらが瘢痕化を示とともに同部を中心とした線維性癒着部の増加が拡がり,まず滑膜部に於いては滑膜間の癒着が発現,さらに滑膜と関節結節,下顎窩表面の軟骨,そして関節円板へと拡大し最終的に腔の狭窄化が見られた。 しかしその後の機能的変化は,とくに開口域の減少,開閉口運動の障害は見られず通常に経過して観察された。その理由として一般に動物実験では患部の疼痛をはるかにしのぐ動物の旺盛な食物摂取により,結果的に開閉口の術後運動が積極的に行われそのため下顎運動障害が後遺しにくいものと考えられた。 2)臨床例における鏡視下手術施行例の検索 27症例36顎関節についての術前および術後の全症例のCT二重造影像の所見から関節腔内形態の変化は動物実験の結果にほぼ準ずるもので,関節腔狭窄を示すことが観察された。とくに外傷性損傷,線維性癒着などの病変が広範囲の症例では関節狭窄から閉鎖となる場合が多いことが明らかとなった。この病態は関節腔滑膜の瘢痕化から線維症,線維性癒着症,さらに滑膜の伸展性の低下,病変部の拡大によりいわゆる線維性強直症に至る症例が多数観察された。またこれらの病態は顎関節運動機能が抑制状態で増大傾向を示し,さらに最終的には骨性の顎関節強直症に進行するものと考えられる。しかしながら術後の開閉口運動への訓練が適切であれば,機能障害,開口制限はみられないことがわれわれの多数症例にもとずく臨床経験からも得られており,鏡視下手術後の機能訓練の重要性が強調される結果であった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 大月佳代子: "顎関節の鏡視下手術" 山梨内視鏡下手術研究会年報. 1. 39-43 (1994)
-
[Publications] 大月佳代子: "関節鏡視下円板縫合固定術による習慣性顎関節脱臼の新たな治療法について" 日本顎関節学会雑誌. 6. 52-61 (1994)
-
[Publications] 大月佳代子: "顎関節の鏡視下円板縫合・固定術" 関節鏡. 20. 167-171 (1995)
-
[Publications] 笠井隆司: "顎関節の鏡視下円板縫合・固定術と顎骨骨切り術の組み合わせによる新たな術式 顎関節症状を伴う顎変形症の治療" 山梨内視鏡下手術研究会年報. 2(印刷中). (1996)
-
[Publications] 大月佳代子: "顎関節内障に対する鏡視下円板縫合・固定術の術後成績-「術後の患者の満足度」を加えた臨床評価" 日本顎関節学会雑誌. 8(印刷中). (1996)
-
[Publications] 大月佳代子: "歯科用レーザの臨床〔疾患対応編〕歯界展望" 医歯薬出版, 7 (1995)