1994 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞におけるプロスタグランジンの増殖刺激作用に関与する細胞内シグナル伝達系-特にリン脂質代謝およびチロシンリン酸化酵素を介した伝達系について-
Project/Area Number |
06672000
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中島 茂 岐阜大学, 医学部, 講師 (60188935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 伸光 岐阜大学, 医学部, 教授 (80019893)
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Keywords | 骨芽細胞 / プロスタグランジンFSα / ホスホリパーゼD / ジアシルグリセロール / ホスファチジン酸 / Cキナーゼ / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
ブタノール存在下にMC-3T3細胞をプロスタグランジン(PG)F2α刺激すると、ホスファチジルブタノール(PBut)の産生が認められ、ホスホリパーゼD(PLD)が活性化されることを確認した。PBut生成は細胞内Ca^<2+>濃度の上昇に依存しており、細胞外Ca^<2+> キレートするか、イノシトールリン脂質の分解を抑制すると減少した。しかし、Cキナーゼ阻害剤は無効であり、またCキナーゼをダウンレギュレーションしてもPBut生成はほとんど影響を受けないことから、他の多くの細胞系での報告とは異なり、この細胞ではPLD活性化にCキナーゼの関与は少ないことが明らかになった。PBut産生は、百日咳毒素(PTX)処理では影響を受けないが、細胞膜をジギトニンで透過性にしGTPアナログを投与すると亢進することから、百日咳毒素(PTX)非感受性のGTP結合タンパク質の関与が示唆された。さらに、[^3H]コリン標識細胞ではPGF2α刺激によりコリンのみでなくホスホコリン産生も増加することから、PLDに加えてホスファチジルコリン特異性ホスホリパーゼC(PC-PLC)も活性化されることが示唆された。すなわち、MC-3T3細胞をPGF2α刺激した際にはPLDとPC-PLCを介したPC分解が生じ、持続性のジアシルグリセロール(DG)およびホスファチジン酸(PA)酸に関与していることが明らかとなった。一方、抗ホスホチロシン抗体を用いたウエスタンブロティングよりMAPキナーゼをはじめタンパク質のチロシンリン酸化の亢進が観察された。MAPキナーゼ活性化はPTX処理では影響を受けないが、Cキナーゼをダウンレギュレーションすると著明に抑制された。また、アスコルビン酸およびグリセロリン酸により骨芽細胞の分化の指標となるアルカリフォスファターゼの活性上昇を確認しており、分化に伴う刺激応答の変化を現在解析中である。
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