1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用金属によるアレルギー発現のスクリーニングに関する研究
Project/Area Number |
06672068
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Research Institution | TOKYO DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
山中 すみへ 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40085840)
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Keywords | 歯科用金属 / アレルギー / 感作性試験 / Mouse Ear Swelling Test |
Research Abstract |
歯科用金属によるアレルギーの発現については、多くの症例が報告され、作用機序の解明とともに簡易なスクリーニング法の確立が望まれている。実験動物による感作性試験としては、従来よりモルモットを用いたMaximization法が用いられているが、簡易なスクリーニングの目的には不適当である。そこで今回、安価でかつ短時間にマウスを用いて金属の感作性をスクリーニングできる代替法として、Mouse Ear Swelling Test (MEST)法を検討するとともに、in vitroにおける検査法としてマウスの血液でリンパ球幼若化試験を行い、次のような結論を得た。【1】MEST法の有効性を確認するために、明らかな感作陽性物質であるDNCB(1-Chloro-2,4-dinitro benzene)で感作性試験を行った。DNCBでは初回の感作でマウスの耳は腫脹し、耳の厚さが有意に増加して感作が成立したことを示し、MEST法の妥当性を示した。【2】MEST法により、歯科用金属(水銀、クロム、ニッケル)の感作性試験を行ったところ、初回では感作が成立せず、回数を重ねた感作の必要性があった。とくに水銀では、FCA(Fround Complete Adjuvant)を用いて感作した場合や、水銀の刺激濃度で感作した場合には皮膚の炎症が著しく、感作が成立しなかった。したがって皮膚表皮のランゲルハンス細胞等の抗原提示細胞を損傷しない至適条件での感作の必要性を示した。【3】マウスの血液を用いて、in vitroでリンパ球幼若化試験を行ったところ、水銀で感作して耳の腫脹が著しい陽性マウスは、無感作マウスに比べてリンパ球活性の亢進傾向がみられた。以上のことから、歯科用金属のための感作性のスクリーニング法として、MEST法やリンパ球幼若化試験は有効であるが、さらに試験条件の検討が必要である。
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