1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06672070
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小室 歳信 日本大学, 歯学部, 助教授 (50139200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 博文 日本大学, 歯学部, 助手 (30188594)
高橋 登世子 日本大学, 歯学部, 助手 (50120499)
網干 博文 日本大学, 歯学部, 講師 (60212560)
向山 レイ 日本大学, 歯学部, 講師 (40059902)
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Keywords | 歯科法医学 / DNA / MCT118 / HLADQα / 性別判定 / 歯石 |
Research Abstract |
歯石は白血球や口腔内上皮細胞を含み,歯の周囲に沈着して永く残存することから,白骨死体の個人識別の遺伝標識を検査する際にはかなり有用な試料である.そこで歯石DNAを試料として,MCT118(300-800bp)およびHLADQα(242/239bp)座位をPCR増幅してDNA型分析を試みた.また,性染色体上のDXZ1(131bp)およびDYZ3(172bp)をPCR増幅し性別判定を試みた.【試料・方法】〈歯石〉歯科治療時に採取した新鮮歯石,および抜去後1-17年間保存された性別既知の歯に沈着する陳旧歯石を用いた.歯石は十分洗浄し,0.5M EDTAで24〜48時間脱灰した後,フェノール・クロロホルム法でDNAを抽出した.〈PCR増幅〉MCT118座位はKasaiらの方法に,HLADQα座位はシ-タス社のAmplitype^<TM>システムに,性別判定はWitt & Ericksonの方法に準じた。〈DNA型検出〉MCT118型と性別判定は10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動・EB染色した後,UV照射下で型検出した.HLADQα型はリバースドットハイブリダイゼーション法により検出した. 【成績・考察】歯石1.7-25.0mg(湿重量)から0.6-26.4μgの比較的高濃度のDNAが得られたが,高分子DNAは回収されず,かなり低分子化していた.歯石DNAのMCT118型は正しく検出された例が少なく,歯石を試料とする分析には不適当である(実験継続中)と考えられた.HLADQα型は20例について検討した結果,17年間保存した歯石からもDNA型検出は可能であった.DXZ1とDYZ3をPCR増幅して性別を判定した結果,男性歯石29例中26例は正しく男性と判定されたが,3例はDXZ1のみが増幅され女性と誤判定された.また女性歯石26例中24例は女性と判定されたが,2例はDYZ3も増幅され男性と誤判定された.誤判定例についてはアメロゲニン座位(X:218bp,Y:212bp)を増幅し検討した結果,性別は正しく判定された.性別判定は2種以上の検査法により行う方が良いと判明した.以上,低分子化した歯石DNAからのDNA型検出には,比較的bpの小さい領域について検査することが適していると考えられた.
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[Publications] 川野茂: "PCR法による歯石からの性別判定" 日本法医学雑誌. 49巻(予定). (1995)
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[Publications] 堤博文: "DNA多型 Vol.3" DNA多型研究会編 (株)東洋書店(発売予定), (1995)