1995 Fiscal Year Annual Research Report
組織培養系を利用したスコパドルシ酸Bの効率的生産方法の確立
Project/Area Number |
06672092
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Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
林 利光 富山医科薬科大学, 薬学部, 助手 (40092796)
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Keywords | Scoparia dulcis / 組織培養 / ジテルペン / スコパドルシ酸B / スコパドルシオール / 器官培養 |
Research Abstract |
1.Scoparia dulcis の発芽後のジテルペン生産に及ぼす光の影響 SDBタイプのScoparia dulcisの種子を無菌的に発芽させた後、実生の生長とスコパドルシ酸B(SDB)の生産に及ぼす光の影響を調べたところ、24時間光照射下では、発芽7日目以後急速に生長するようになり、それに伴ってSDBの生産量も急増した。これに対し、暗所では実生の生長が著しく抑えられ、SDBは2週間後においても全く検出されなかった。なお、スコパドルシオール(SDC)を主に生産するSDXタイプの場合も同様であった。 2.Scoparia dulcisの葉の器官培養における増殖とジテルペン生産に及ぼす植物ホルモンの影響 種子から発芽後、4週間生育したScoparia dulcisの実生の葉を切り取り、 benzyladenin(BA)、isopentenyladenin(IP),4-pyridylurea(4PU)またはkinetin(Kin)を含むMS液体培地に移植後、2週間毎に3回継代したものについて、培養組織の増殖量とジテルペンの生産量を調べた。継代後12日目のものについて、フラスコ当りのジテルペン含量を分析したところ、いずれの植物ホルモン添加の場合も、濃度が0.1μMの場合に最も高い含量のジテルペンが認められた。中でも、4PUを添加した場合は増殖量もジテルペン生産量も極めて良好であった。しかも、この条件下では継代とともにジテルペン含量が増大する傾向を示した。また、IP及びkinを添加した場合のジテルペン生産も良好であったが、これらの培養条件下では、一部の茎葉から根の伸長が認められた。 3.まとめ 多彩な生物活性を有する四環性ジテルペンであるSDBの組織培養法による効率的な生産条件を検討した結果、発芽後4週間以上経過したScoparia dulcisの葉を切り取り、光照射下で、0.1μMの4PUを添加したMS液体培地で器官培養する方法が最も良好であった。また、この方法では、SDBタイプSDXタイプの植物体を使い分けることにより、それぞれ、SDBまたはSDCの高生産が可能であることが判明した。
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Research Products
(1 results)