1994 Fiscal Year Annual Research Report
キラルなリン化合物を活用する新規不斉合成反応の開発
Project/Area Number |
06672098
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 圭 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50093266)
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Keywords | 不斉合成反応 / キラルリン化合物 / 炭素-炭素結合反応 / 不斉オレフィン化 / 不斉マイケル反応 / メソ型ジケトン / H-ホスホネート |
Research Abstract |
軸不斉光学活性ビナフトールを不斉補助剤とするキラルなホーナーエモンズ試薬を用いる不斉オレフィン化反応を種々のメソ型ジカルボニル化合物に適用した。その結果、反応は好収率で進行し、5,6位に置換基を持つノルボネン型化合物ではZ体が、5,6無置換体ではE体のエノンがそれぞれ高エナンチオ選択的に得られ、本研究で開発したキラルなリン試薬を用いる不斉オレフィン化反応が光学活性エノンの新規不斉合成法として広く応用可能であることが判明した。一方、4-アルキルシクロヘキサノンや[3.3.0]系オクタノン化合物のエナンチオまたはジアステレオ面区別反応に基づく不斉オレフィン化では同様なビアリールを補助剤とするキラルリン試薬が有効で高エナンチオ選択的に対応するアルキリデン体を与えることが判明した。さらにカルボニル化合物の一つでもあるケテンのオレフィン化によるアレン誘導体の直接的合成法を試みたところ、反応条件、特にカウンターカチオンの選択につき検討を行なったところ、ケテンからアレンカルボン酸誘導体の新規変換法の開発に成功した。尚、この反応の不斉反応への展開は現在検討中である。同族のアリル型のキラルホスホネート試薬は環状α,β-不飽和ケトンの不斉マイケル反応に有効であり、反応は試薬のγ位、基質のβ位で高選択的に起こりビニル型ホスホネート体を高収率で与えた。オゾン分解により本品は天然物合成に有用な光学活性ケトアルデヒドへ変換可能である。3価のリン化合物であるH-ホスホネートは核酸合成に重要であるがこれまでその立体選択的合成法はない。そこで液相法での核酸2量体をモデルとする反応を検討した結果、キラルな活性化剤を用いることによりH-ホスホネート結合のジアステレオ選択的構築法の開発に成功した。上記した新規各不斉反応や立体選択的反応の研究において設備備品として導入した凍結乾燥機は不安定合成中間体や成績体の単離と精製に有効であった。
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