1994 Fiscal Year Annual Research Report
新しい合成戦略に基づいた硫酸化チロシンを含む大分子型ペプチドホルモンの合成
Project/Area Number |
06672101
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
北川 幸己 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (60093853)
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Keywords | 化学合成 / 固相ペプチド合成 / 硫酸化チロシン / 安全弁付き保護基 / フラグメント縮合 / 消化管ペプチドホルモン / ガストリン / コレシストキニン |
Research Abstract |
硫酸化チロシンを含むペプチドの化学合成は、従来のペプチド合成の方法論だけでは解決できない問題を含んでおり、その簡便な合成法を開発することは、合成化学的にも、また、チロシン硫酸化の意義を解明する上でも重要な研究課題と位置付けられる。以下に本課題研究に関して新潟薬科大学で行った研究の概要をまとめる。 1.希酸でペプチドアミドを遊離できるCHA樹脂(5-Fmoc-aminodibenzosuberyl linker)や2-クロルトリチル樹脂が新しく開発され、コレシストキニン(CCK)のようなC端アミド構造をもつ硫酸化チロシン含有ペプチドのFmoc型固相合成が期待できるようになった。そこで、まずCHA樹脂を用い、大分子型CCK(CCK-22、CCK-33)のFmoc法による直接合成を試みた。硫酸化チロシン残基の導入にFmoc-Tyr(SO_3Na)-OHを用いる方法[Kitagawa et al.,Chem.Pharm.Bull.,41,376(1993)]でペプチド鎖を構築したのち、保護ペプチド樹脂を二段階の酸処理[25%TFA/CH_2Cl_2,r.t.,30min(樹脂からのペプチドの遊離);90%aq.TFA,4℃,5hr(全保護基の除去)]に付し、精製後、高純度のCCK-22(硫酸化体)に導いた。現在、このCHA樹脂を用いてCCK-33への延長を行うとともに、2-クロルトリチル樹脂の硫酸化ペプチドの合成への応用を検討している。 2.“safety-catch"型保護基を活用して固相合成した保護フラグメントを用いて、固相上でのフラグメント縮合でビッグガストリンに相当する34-ペプチドを構築した。この保護ペプチド樹脂をTFAで処理することにより、ビッグガストリン-ll(硫酸化体)への鍵中間体:Msib/Msz保護ペプチドを得た。現在、鍵中間体をジメチルホルムアミド-三酸化硫黄錯体/エタンジチオールで処理し(チロシンへの硫酸化と同時にスルホキシドを含むMsib/Msz基の還元)、次いで還元により酸に鋭敏となった保護基を除去して硫酸化体へ導くことを検討している。
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