1994 Fiscal Year Annual Research Report
ガングリオシド合成に用いるシアル酸の立体選択的合成法の開発
Project/Area Number |
06672111
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
飯森 隆昌 帝京大学, 薬学部, 助教授 (90246025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 秀依 帝京大学, 薬学部, 助手 (10266348)
大竹 廣雄 帝京大学, 薬学部, 助手 (50256054)
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Keywords | シアル酸 / ニトリルオキシド / 立体選択的合成 / イソオキサゾリン / 保護基 / コンフォメーション |
Research Abstract |
シアル酸含有オリゴ糖鎖の有機化学的合成における問題点の1つとして、シアル酸を糖供与体とするグリコシル化反応の困難さがある。これは、シアル酸がアノメリック位にカルボキシル基を有するための立体的及び電子的効果に起因するものと考えられる。そこで、後にカルボキシル基へと変換できるヒドロキシメチル基あるいは芳香環で置き換えたシアル酸誘導体でグリコシル化反応を行うこととし、その反応に用いるための糖供与体の立体選択的な合成法を確立すべく検討を行っている。 平成6年度は、入手容易なグルクノラクトンから誘導したオレフィンのニトリルオキシドとの立体選択的なイソオキサゾリン環形成反応を鍵反応とした合成法について検討を行った。イソオキサゾリンへの環化付加反応で知られているインサイドアルコキシ効果を考慮すると、この付加反応によってシアル酸合成に必要な炭素骨格を立体化学も含めて構築できるものと考えられる。そこで、この反応によって得られたイソオキサゾリンをシアル酸誘導体へ変換したところ、予想とは逆の立体選択性を発現している可能性が示唆された。この立体選択性の逆転について明らかにするために、簡易化したモデル化合物を用いて詳細に検討を行ったところ、先のシアル酸誘導体での立体化学の決定の際に、その構造が予想とは異なっていたため、誤った結論を導き出していたことが明らかとなった。このため、当初の計画での立体選択的な合成法の開発が可能となったが、シアル酸誘導体への変換において合成ルート修正の必要性が明らかとなり、現在、その検討を行っている。 また、この選択性発現解明の検討において、反応部位に隣接する水酸基の保護基の種類により、立体選択性に違いが見られることがわかった。この選択性は、反応基質のコンフォメーションと相関があることより、選択性発現機構との関係を明らかにすべく研究を展開している。
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