1994 Fiscal Year Annual Research Report
アルケニルクロム化合物の分子内環化反応を用いるアロプミリオトキシンの不斉合成
Project/Area Number |
06672112
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
樹林 千尋 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80057330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 榮 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (30212385)
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Keywords | アルケニルクロム化合物 / アロプミリオトキシン / 分子内環化反応 / エナンチオ選択的合成 |
Research Abstract |
近年,米国NIHのDalyらの研究グループにより中南米産矢毒蛙(Dendrobatidae属)の皮膚抽出物から200種以上にのぼる微量アルカロイドが検出され,その神経および筋肉に対する特異な薬理作用と多様な化学構造が明らかにされつつある。しかしながら,これらのアルカロイドは天然から極めて微量にしか得られないため不斉合成による光学活性試料の供給が切望されている。本研究は,これらのアルカロイドのうち最近その構造が明らかにされたアロプミリオトキシンAと称せられる一群のアルカロイドを,一貫した合成概念のもとに高立体選択的,高エナンチオ選択的に合成するための新規手法を開拓,確立することを目的として行われたものである。 上記目的を達成するため,申請者らは(+)-アロプミリオトキシン267Aおよび339Aを標的化合物として選び,これらのアルカロイドをニッケル(II)を触媒とするアルケニルクロム(III)化合物の分子内環化反応を鍵反応として,極めて高度な立体制御下に不斉合成することに成功した。本環化反応の特長はアロプミリオトキシンの構造上の特徴である(E)-アルキリデン側鎖およびtrans-ジアキシアル水酸基を,1回の反応操作で同時かつ高立体選択的に構築できる点にある。以上,新たに開発された独自な戦略に基づく合成手法は,他のアロプミリオトキシン類のエナンチオ選択的合成にも適用できる一般性を備えている。
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Research Products
(1 results)