1994 Fiscal Year Annual Research Report
有機フッ素化合物の新合成手法の開発と含フッ素生体関連物質合成への応用
Project/Area Number |
06672113
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
田口 武夫 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00016180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 勉 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (40166393)
榛沢 雄二 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (10096688)
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Keywords | シクロプロパン / ジフルオロシクロプロパン / メタノグルタミン酸 / 不斉合成 / ラジカル反応 / ジルコニウム錯体 |
Research Abstract |
1.ジフルオロシクロプロパン誘導体の合成法の開発と応用 シクロプロパン誘導体はその歪みに由来する高い反応性と構造的な平面性の特徴を有し、生理活性物質や機能材料分野での分子設計において重要な位置を占めている。このようなシクロプロパン環へのフッ素の導入は、フッ素原子の性質に基づく特異な反応性や物性が期待される。しかし、応用性に富む多官能性の含フッ素シクロプロパン誘導体の合成法の開発は光学活性体を含めて全く未解決な問題として残されていた。我々は、この問題点の解決に取り組みさらにその応用展開としてジフルオロメタノグルタミン酸の合成を検討した。その結果、4-ブロモ-4、4-ジフルオロクロトン酸誘導体とエステルあるいはアミドのリチウムエノレートとの反応をトリエチルホウ素共存下に行なうと対応するジフルオロシクロプロパン誘導体が位置および立体選択的に得られることを見いだした。本反応はラジカル連鎖機構で進行することが推定され、フッ素置換に基づく特徴であることを明らかにした。さらに、本反応を不斉合成へ展開して、応用性に富む多官能性ジフルオロシクロプロパン誘導体の合成法の確立し、その応用として神経伝達物質として注目を集めているグルタミン酸のジフルオロシクロプロパンによる化学修飾を行なった。 2.ジルコノセン等価体を用いる合成反応の開発 ジルコノセン等価体を用いる合成反応の開発の一環として、ビニルシクロプロパン誘導体の環開裂反応を検討し、その位置選択性と反応中間体の構造および合成反応としての有用性を明らかにした。 3.4位に不斉中心を有するα,β-不飽和エステルへの炭素ラジカルの付加反応 グリセルアルデヒドアセトニドから誘導されるα,β-不飽和エステルへの炭素ラジカルの付加反応は極めて高い不斉誘導が発現することを見いだした。さらに本反応の遷移状態について理論計算の結果を踏まえて考察した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 田口武夫: "Regio-and Stereoselective Synthesis of gem-Difluorocyclopropanes Using 4-Bromo-4,4-difluorocrotonate" Tetrahedron Lett.35. 913-916 (1994)
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[Publications] 田口武夫: "Asymmetric Synthesis of Difluorocyclopropanes" Tetrahedron:Asymmetry. 5. 1423-1426 (1994)
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[Publications] 榛沢,雄二: "Regioselective Bond Cleavage of Vinylcyclopropane Derivatives with the “Zirconocene-Butene"Complex" Tetrahedron Lett.35. 9421-9424 (1994)
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[Publications] 森川勉: "Stereoselective Radical Addition Reactions of γ-Oxy-α,β-unsaturated Ester Derivatives;1,2-Asymmetric Induction in Acyclic and Cyclization Systems" J.Chem.Soc.Perkin Trans.1. 271-281 (1995)