1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヨウ化サマリウムによる新規開裂反応を利用した有用生理活性物質の合成
Project/Area Number |
06672118
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Research Institution | Laboratory of Synthetic Organic Chemistry, Institute of Medicinal Chemistry, Hoshi University |
Principal Investigator |
本多 利雄 星薬科大学, 医薬品化学研究所, 教授 (70089788)
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Keywords | ヨウ化サマリウム / 炭素-炭素結合開裂反応 / 生理活性物質 / 抗腫瘍性ステロイド / ネシン酸 / 立体選択的キラル合成 |
Research Abstract |
昨年度の本研究費補助金実績報告書において、ヨウ化サマリウムを用いた位置選択的炭素-炭素結合開裂反応の開発とヌファーピペリジンアカロイド類およびピロリチジンアルカロイド類のキラル合成への応用を報告している。本年度はここで開発された反応のさらなる発展として抗腫瘍活性を有するステロイドであるaragusterol Aの側鎖部の立体選択的構築法の確立および同様な立体化学、置換様式を有するステロイドであるpetrosterolの合成を検討した。前者はその薬理活性から大変興味が持たれる化合物であり、より活性の強い化合物探索の上からも立体異性体を含めた種々の誘導体合成法の確立が望まれる。また、後者は未だその薬理活性については報告がなく、その結果が期待される化合物である。そこでモノテルペンであるカルボンから容易に誘導可能なシクロペンタン誘導体をキラル源として活用し、ヨウ化サマリウムを用いた位置選択的炭素-炭素結合開裂反応を行ったところ目的とする開裂体が高収率で得られた。これを用いて官能基修飾等を行いaragusterol Aの側鎖部の立体選択的構築法を確立することができた。原料のシクロペンタン誘導体は両対掌体の入手が容易であり、本法を用いれば可能な全ての異性体の合成が可能となる。また得られる生成物は光学的に純粋なものであるという利点も有している。さらにここで合成した側鎖部を用いてpetrosterolの合意にも成功した。 また抗腫瘍活性を有する大員環ピロリチジンアルカロイドのネシン酸部の合成を本法の応用として検討したところ、2種の目的物の立体選択的キラル合成に成功した。これらとネシン塩基とのカップリング生成物の薬理活性を検討する予定である。
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