1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06672139
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 哲郎 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (90133769)
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Keywords | H.halobium / Halobacterium salinarium / phototaxis / phoborhodopsin / photomorement / photophobic response / 光生物学 / 走光性 |
Research Abstract |
今年度においては、古細菌の走光性受容体のみに焦点を絞り、(I)発色団をアナログで置換したものについて、機能の変化を見た。(II)受容体タンパクをコードする遺伝子の塩基配列を明らかにするため、既知の古細菌ロドプシン類に見られる相同部位をもとにPCRを行ない、未知の走光性受容体をコードするDNAの部分配列とみられるPCR産物を探索した。 (I)[研究実施計画(1)および(2)に対応]古細菌の光驚動性に働く受容体フォボロドプシンの発色団を13‐demethyl体で置換し、光化学反応、生理機能について調べた。光化学反応サイクルは2光子過程と思われるが、かなり遅くなっているものが観測できた。生理機能については、驚くべきことに、本来現われる筈のステップアップ光驚動性(光忌避応答)に加えて、ステップダウン光驚動性(光誘因応答)が観測された。この現象は、光受容から鞭毛の回転方向の反転という情報の伝達過程を分子論的に調べるのに適した数少ない手段として利用できると考えられる。 (II)[研究実施計画(3)および(4)に対応]塩基配列既知のバクテリオロドプシン、ハロロドプシン、センサリ-ロドプシンのいずれのアポ蛋白をコードする遺伝子DNAとも制限酵素地図の一致しない約310bpのPCR産物を得た。現在、塩基配列の決定を進めている。また、古細菌(H.halobium)の遺伝子ライブラリーを一部作製しており、上記産物の塩基配列決定後、ハイドロパシーなどの指標によりフォボロドプシンをコードする遺伝子である可能性が高いと判断されれば直ちに全塩基配列を決定する予定である。 また、本研究計画に関連して、単細胞藻類クリプトモナスの走光性についても知見を得た(参考)。
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