1994 Fiscal Year Annual Research Report
薬物体内動態と酸化的ストレスに起因する肝毒性発現機構研究手法の確立
Project/Area Number |
06672155
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀江 利治 千葉大学, 薬学部, 教授 (90120154)
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Keywords | 酸化的ストレス / 脂質過酸化 / 肝毒性 / 肝細胞 / 化学発光 / アセトアミノフェン / グルタチオン / ナプロキセン |
Research Abstract |
ラット肝灌流実験系にて3種の薬物(アセトアミノフェン、ナプロキセン、ドキソルビシン)について酸化的ストレスに関する検討を行った。(1)アセトアミノフェンについて:各種濃度のアセトアミノフェン溶液(0,0.1,0.5,1,5,10mM)を灌流すると、1mMアセトアミノフェン溶液灌流時には2時間あたりから灌流液中にチオバルビツール酸反応物質(TBARS)が出現したが、他の濃度ではコントロールと同様に灌流6時間までTBARSの生成は僅かであった。GOTの灌流液中への出現もこれと対応していた。N-アセチルシステインをアセトアミノフェンと同時に灌流したところ、TBARSの生成およびGOT漏出は抑制された。また、1mMアセトアミノフェン溶液を灌流した肝のホモジネート中には経時的に高分子量タンパク重合体が生成し、化学発光の増大が認められた。これらの結果は1mMアセトアミノフェンによって肝臓中に脂質酸化が発現していることを示している。一方、これらの変化に対応して、灌流肝中の還元型グルタチオン量が低下していることがわかった。(2)ナプロキセンについて:10mMナプロキセン溶液を2時間肝灌流し、灌流液中のTBARSおよびGOTを経時的に測定したところ、両者の出現は類似した挙動を示した。酸化型グルタチオンの胆汁中への排泄は灌流開始後、30分以内に大きく減少した。また、灌流後の肝臓内酸化型グルタチオン量を測定したところ、コントロールの肝臓内酸化型グルタチオン量にくらべて僅かに増加していることがわかった。これらの結果はナプロキセンによる肝臓内酸化的ストレス、脂質過酸化の発生を示している。(3)ドキソルビシンについて:脂質過酸化を発現することが知られているドキソルビシンについて、in vivoでそれを検出する手段としての化学発光測定を心臓ミトコンドリアについて行い測定技術を確立した。
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[Publications] 堀江利治: "薬による肝毒性発現機構:酸化的ストレスを中心として" J.Toxicol.Sci.20. 13-18 (1995)
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[Publications] H.Yokoyama: "Oxidative stress in the isolated rat hepatocytes during naproxen metabolism" Biochem.Pharmacol.(in press). (1995)