1994 Fiscal Year Annual Research Report
補体成分C3由来の新しい好中球走化性因子C3βcの慢性炎症における役割
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06672174
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中川 秀夫 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (00012617)
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Keywords | 炎症 / 滲出液 / 補体C3 / C3βc / 好中球走化性因子 / 血管透過性 / アナフィラトキシン |
Research Abstract |
本研究では、以下の点に焦点を絞って研究した。 1.滲出液からC3βcの大量精製:新たに発見したC3βcの慢性炎症における役割を解明するために、まずラット・カラゲニン空気嚢炎症モデルの慢性期(day7)の滲出液を数リットル集め、C3βcを大量に精製する方法を検討した。その結果、一回の精製で使用する滲出液は500ml、SP-Sephadexカラムの2回分を合わせてHeparin-Sepharoseカラムにかける等の精製条件を確立した。精製の最終段階である逆相HPLCにおけるC3βcの収率は20〜30μgであった。しかし、逆相HPLCで活性が低下するという問題点を解決できなかった。 2.C3βcの細胞浸潤促進作用の検討:C3βcがin vitro Boyden法において好中球に対する走化性活性を示すことを既に明らかにした。次に、in vivo実験系で細胞浸潤促進作用を検討した。ラットの背部皮下に空気嚢を作製し、1%カルボキシメチルセルロース溶液に溶解したC3βc(10^<-6>M)を空気嚢内に注射し、2時間後に嚢内液を抜き取り、細胞数、細胞の種類を測定した。その結果、C3βcは、細胞浸潤を有意に促進し、浸潤した細胞の96%が好中球、単球が4%、リンパ球は殆ど存在しなかった。この結果は、C3βcが主に好中球に対する走化性因子であることを示唆している。 3.C3βcの血管透過性亢進作用の検討:精製したC3βc(8x10^<-6>M)を予め色素(Evans Blue)を静注したラットに皮内注射し、その30分後に注射部位の皮膚の一定面積を切取り、色素を抽出、定量した。その結果、C3βcはC3aと同程度の強い血管透過性亢進作用を示した。このC3βcによる血管透過性亢進作用は、cyproheptadineによって強く抑制された。これらの結果から、C3βcはC3aと同程度のアナフィラトキシンとして、慢性炎症の血管透過性亢進に関与していることが推測される。
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