1994 Fiscal Year Annual Research Report
ムチン型糖タンパク質に発現される癌関連糖鎖抗原について
Project/Area Number |
06672211
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中田 博 京都産業大学, 工学部・生物工学科, 教授 (90113141)
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Keywords | シリアルLe^a抗原 / ムチン / E-セレクチン |
Research Abstract |
ヒト癌患者腹水よりシアリルLe^a抗原を持つ糖タンパク質を単離し、その化学的性質を検討するとともにE-セレクチンとの結合の性質について調べた。精製はシアリルLe^a抗原を認識する単クローン抗体MSW113の抗体カラムを用いて行った。得られた糖タンパク質は糖質が約80%を占める典型的なムチン型糖タンパク質であった。糖組成としては、SA、Gal、GalNAc、GlcNAc、の他にManも含まれ、O-グリカンとともにN-グリカンも存在することがわかった。アミノ酸としては、Ser、Thr、Proに富み、全体の50%以上を占めた。全体のアミノ酸組成はMUC2遺伝子産物のそれに酷似していた。糖鎖抗原としてはシアリルLe^a抗原の他にTn抗原やシアリルTn抗原も発現していた。アルカリ還元処理によりO-グリカンを切り出し、その分子サイズを調べたところ、大半の糖鎖は比較的短い糖鎖から構成されていたが、シアリルLe^a抗原は高分子画分に回収され、糖鎖の約9%に同抗原が発現されていた。 この糖タンパク質を^<125>Iで標識し、HUVECのE-セレクチンとの結合性を検討した。HUVECへの結合はCa依存性で、抗E-セレクチン抗体やMSW113により阻害された。また、IL-1β処理後約4時間で結合は最大となった。この糖タンパク質存在下でE-セレクチンの分解が亢進し、sheddingによる培養上清へのE-セレクチンの遊離も減少した。また、代謝亢進にともない、新たな合成の促進も見られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Inoue: "Tn antigen is expressed on leukosialin from T-lymphoid cells" Cancer Res.54. 85-88 (1994)
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[Publications] G.Ohshio: "Expression of sialyl-Tn antigen(monoclonal antibody MLS102 peactive) in normal tissues and malignant tumors of the digestive tract." J.Cancer Res.Clin.Oncol.120. 325-330 (1994)
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[Publications] H.Nakada: "Coexpression of cancer associated carbohydrate antigen,Tn and sialylTn." Glycoconj.J.11. 262-265 (1994)
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[Publications] H.Nakada: "Expression of the T antigen on a T-lympheid cell line,Sup T,cells" Glycoconj.J.(in press).
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[Publications] 中田 博: "がん関連糖鎖抗原の構造と発現、シアリルLe^a抗原とTn抗原を中心に" 日本生化学会, 14 (1994)