1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレオチドピロポスファターゼの遺伝子発現と生理的機能に関する研究
Project/Area Number |
06672212
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
舩越 育雄 京都産業大学, 工学部, 教授 (10025702)
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Keywords | 遺伝子発現 / ヌクレオチドピロホスファターゼ / チロシンキナーゼインヒビター |
Research Abstract |
1.ヌクレオチドピロホスファターゼ(NPPase)遺伝子のクローニング----ヌクレオチドピロホスファターゼの5'-非翻訳領域は、多くの努力にもかかわらずこれまで得ることができなかったが、今回、コスミドベクターpWE15に組み込んだ遺伝子ライブラリーの中からこの領域を含むと思われるクローンを2つ拾うことに成功した。現在、これら2つのインサートが5'-非翻訳領域をどの程度カバーしているか解析中である。 2.インスリンレセプターのチロシンキナーゼ活性に及ぼすヌクレオチドピロホスファターゼの影響について----インスリン非依存性の糖尿病患者細胞の中にはインスリンレセプターのチロシンキナーゼ阻害物質が存在し、この物質がヌクレオチドピロホスファターゼではないかとGoldfineらにより指摘されている。これを確かめるため、正常インスリンレセプターチロシンキナーゼ活性をもつ細胞の抽出液と、ヌクレオチドピロホスファターゼを大量に発現しているLowe症候群患者細胞またはヌクレオチドピロホスファターゼcDNAを導入したCHO細胞の抽出液を混ぜ、チロシンキナーゼ活性への影響について調べた。その結果、活性は大きく低下し、インスリンレセプターチロシンキナーゼ阻害物質としてのヌクレオチドピロホスファターゼの新たな生理作用が確認された。 3.ヌクレオチドピロホスファターゼのshort-form cDNAの発現について----ヌクレオチドピロホスファターゼのmRNAは5'-翻訳開始点と思われる領域に2つのAUGが156bp離れて存在する。これまでに2つのAUGを含むlong-from cDNAをCHO細胞に導入したところ、活性のある酵素が発現したが、今回は1つのAUGを含むshort-formを導入した。long-formの場合とは異なり、short-formは酵素活性、ヌクレオチドピロホスファターゼのタンパク質とも全く検出されず、short-formは動物細胞中では発現していないことが判明した。
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