1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06672213
|
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
佐藤 隆司 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (40065917)
|
Keywords | ホスホリパーゼA_2 / ホスホリパーゼD / アラキドン酸 / プロスタグランジンD_2 / 肥満細胞 |
Research Abstract |
今年度の研究からいかの見地を得た。 1.〔^3H〕アラキドン酸標識ラット腹腔肥満細胞を種々濃度のCa^<2+>存在下にイオノマイシンで刺激すると、Ca^<2+>濃度依存的なアラキドン酸の遊離がみられたが、エタノール、ホスファチジン酸ホスホヒドロラーゼ(PAPase)阻害剤であるプロプラノロール、ジアシルグリセロールリパーゼ(DGlipase)阻害剤であるRHC80267共存下では高濃度Ca^<2+>域(200μM以上)での遊離が約50%抑制された。ホスホリパーゼ(PL)D活性の指標となるエタノール共存下でのホスファチジルエタノール生成は、高濃度Ca^<2+>域のみで見られた。これらの結果から、低濃度Ca^<2+>域(〜200μM)でのアラキドン酸遊離は主にPLA_2系によるもので、高濃度Ca^<2+>域での遊離はその約半分がPLD/PAPase/DGlipase系によるものであることが判明した。 2.抗原によるIgE受容体依存的刺激下でのアラキドン酸遊離は、エタノールや上記阻害剤でほぼ完全に阻害され、その遊離のほとんどはPLD/PAPase/DGlipase系によるものであり、PLA_2系はほとんど寄与していないことが判明した。この結果は、抗原刺激におけるアラキドン酸遊離の新しい機構を示すものと思われる。 3.遊離されたアラキドン酸は、ラット腹腔肥満細胞では主にプロスタグランジンD_2(PGD_2)に代謝されることが知られており、この一連の代謝経路は生理的に重要である。そこでこのPGD_2生成に対する両系の寄与を検討した結果、イオノマイシン、抗原のいずれの刺激下でのPGD_2生成も、上記阻害剤によりほぼ完全に阻害された。この結果は、いずれの刺激においてもアラキドン酸カスケードで代謝されるアラキドン酸の遊離は、そのほとんどがPLD/PAPase/DG lipase系に依存しており、イオノマンシン刺激で見られたPLA_2系の関与は少ないことを示している。この結果は興味深い知見であり、今後さらにこの点を明かにしていきたい。
|
Research Products
(1 results)