1994 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮傷害発生メカニズムの解明と予防治療薬の探索
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06672219
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
添田 泰司 福岡大学, 薬学部, 助手 (20078695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永松 淳雄 福岡大学, 薬学部, 教授 (70078682)
占野 廣司 福岡大学, 薬学部, 教授 (00078693)
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Keywords | 血管内皮 / 傷害因子 / 抗血栓 / 線溶調節因子 / 硫酸化多糖 / セラミド / セカンドメッセンジャー |
Research Abstract |
動脈硬化症やある種の細菌感染症の発症・進展い血管内皮の傷害による機能異常が関与しており、傷害機序の解明とその成果に基づく治療法の確立は重要課題の一つである。正常血管内皮細胞の機能の一つとして、線溶因子t-PAおよびそのインヒビターPAI-1の産生遊離を介する局所血栓形成の制御があげられる。また、膜表面のヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)は血中のアンチトロンビンIII(AT-III)を捕捉することにより凝血因子の失活を促進する。本研究において我々は、種々の傷害因子による血管内皮の機能障害を線溶調節能および抗血栓化能の変化という側面からとらえ、ヒトさい帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いたin vitroモデル系にて検討を行った。以下、研究実績を示す。1.15-HPETE添加によりHUVEの膜脂質は過酸化を受けると同時に、AT-IIIの結合能が有意に減少。また、t-PA遊離の減少、PAI-1遊離の一過性が認められた。従って、血管壁が酸化的ストレスを受けると抗血栓面としての機能低下並びに線溶能低下が予測され、虚血性心疾患等の病因と結ぶつく可能性が示唆された。2.エンドトキシン誘起のPAI-1の遊離が、本研究室で作製したフコイダン誘導体およびヘパリンの添加により強く抑制された。また、HUVECのヘパリチナーゼ処理により、エンドトキシンによるPAI-1遊離促進が阻止された。HSPGはエンドトキシンを一旦結合濃縮し、近傍にある真のレセプターへの結合を容易にすると考えられる。3.HUVECをスフィンゴキエリナーゼ処理すると、細胞内セラミド濃度が上昇するととともにPAI-1遊離が促進した。膜透過性セラミド誘導体の添加によっても同様の結果が得られた。このことは血管内皮細胞のPAI-1合成分泌の細胞内シグナリングにセラミドが関与することを示唆する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shinji Soeda: "Preparation of Aminated Fucoidan and Itu Evaluation as an Antithrombotic and Antilipemic Agent" Biol.Pharm.Bull.17. 784-788 (1994)
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[Publications] Shinji Soeda: "Aminated Fucoidan Ptomotes the Invasion of 3 LL Cells.through Reconstistuted Basement Membrane:Itu Possible Mechanism of Action" Cancer Letters. 85. 133-138 (1994)
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[Publications] Shinji Soeda: "Inhibitory Effect of Oversulfated Fucoidan on Invasion Through Reconstistuted Basement Membrane by Murine Lung Carcinoma" Jpn.J.Cancer Res.85. 1144-1150 (1994)