1995 Fiscal Year Annual Research Report
動物細胞グルコース輸送タンパク質の発現と機能の分子調節機構
Project/Area Number |
06672225
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Research Institution | NATIONAL INSTITUTE OF HEALTH,JAPAN |
Principal Investigator |
北川 隆之 国立予防衛生研究所, 細胞化学部, 室長 (80092188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山河 芳夫 国立予防衛生研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (50100102)
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Keywords | GLUT1タンパク質 / N-結合型糖鎖修飾 / ヒトがん病態 / 癌抑制遺伝子 / カベオリン / 細胞膜タンパク質 |
Research Abstract |
我々は、動物細胞のグルコース輸送が細胞膜に存在する約55kDの糖タンパク質であるグルコース輸送タンパク質(GLUT1)の発現量ならびに、その糖鎖修飾を介して調節されていることをすでに明らかにしている。本研究ではヒトがん細胞におけるGLUT1発現変化について検討した。 ヒト由来がん細胞株のGLUT1の発現を抗GLUT1抗体を用いたイムノブロット法で調べたところ、子宮がん細胞(HeLa)および肺がん細胞(A549)において、糖鎖異常による高分子量化が認められた。この糖鎖変化に伴い、GLUT1のグルコース親和性も顕著に増加していた。また融合細胞株を用いた解析より、HeLa細胞におけるGLUT1の糖鎖修飾と機能変化が、正常細胞由来の癌抑制遺伝子機能の欠失に依存した造腫瘍性と密接な関連を示すことを明らかにした。ヒトがん病態における癌抑制遺伝子機能を更に解析するため、HeLa融合細胞系における細胞膜タンパク質変化を検索した結果、細胞膜に存在するカベオラ構造の主要タンパク質であるカベオリンの発現が、腫瘍性細胞では顕著に低下していた。そこで、ヒトカベオリンのcDNAをPCR法で分離し、腫瘍性HeLa細胞に導入し、カベオリンの高発現株を得た。これらカベオリン高発現株の性状ならびにヒトがん病態との関連について更に検討中である。
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