1994 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素をプローブとしたビタミンEの作用機序に関する研究
Project/Area Number |
06672244
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
熊懐 稜丸 摂南大学, 薬学部, 教授 (20057326)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 まゆみ 摂南大学, 薬学部, 研究員 (60195881)
|
Keywords | トコフェロール / ビタミンE / フッ素 / トリフルオロメチル / リポソーム / NMR / 緩和時間 / 生体膜 |
Research Abstract |
既に本研究室でCF_3基を1個持つトコフェロール類を合成し、そのリポソーム中のNMRの挙動から生体膜中でのビタミンEの配向性と流動性に関する興味ある結果を得ている。今年度は、さらに詳細な検討を行うために、CF_3基を2個持つトコフェロールの合成を企画し、その予備実験として、側鎖の短いものの合成を検討し、トコフェロール環や側鎖の微妙な違いによる反応性の違いを明らかにし、Heterocycles誌に発表した。さらにこれらの結果を用いて、ベンゼン環部3個、およびクロマノール側鎖部3個のメチル基の各1個ずつをCF_3基に変えたα-トコフェロールのすべての組み合わせ、9個の合成を完了し、現在これを含むリポソームの作成とそのNMR測定によるビタミンEの生体膜中でのより詳細な挙動の研究に着手しており、現在先の結果を支持する重要な結果を得つつあり、これについては次に薬学会年会に発表の予定である。 他方、含フッ素脂肪酸のリポソーム中の挙動からリポソーム膜の可動性などを検討しているが、これにビタミンEを投与すると膜表面の可動性が減少することを確認した。このことはビタミンEが従来言われていた抗酸化性による生体膜の安定化のほかに、膜の機械的強度を増して安定化する可能性を示唆する重要な知見であり、今後さらに詳細な検討を行うための合成を企画している。これらについては、12月の環太平洋化学会議で発表の予定である。
|
-
[Publications] M.Koyama,T.Takagi,A.Ando I,Kumadaki: "Synthesis of Bis(trifluoromethyl)cluomanols" Heterocycles. 37. 163-166 (1994)
-
[Publications] M.Koyama,M.Tamura,A.Ando I,Kumadaki: "Synthesis of Fluorine Analogs of Vitamin E.III" Chem.Pharm.Bull.42. 2154-2156 (1994)