1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06672273
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三浦 克之 大阪市立大学, 医学部, 講師 (00183624)
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Keywords | エンドトキシン / ショック / 心拍出量 |
Research Abstract |
麻酔したイヌにエンドトキシンを投与すると著明な持続的降圧が観察され、心拍出量の低下とともに総末梢血管抵抗の低下(動脈系の拡張)、有効血管コンプライアンスの上昇(容量血管の伸展性の増加)を認めた。シクロオキシゲナーゼの阻害薬であるイブプロフェンの投与により心拍出量の改善を認めないものの総末梢血管抵抗の低下および有効血管コンプライアンスの上昇は抑制されたのに対し血小板活性化因子受容体拮抗薬TCV-309は、心拍出量の改善とともに有効血管コンプライアンスの上昇を抑制した。このようにエンドトキシン投与により種々の血管作動性の生理活性物質の産生が誘導され様々な循環作用を発揮するが、そのうち、近年見いだされたペプチドのアドレノメデュリンは腎血管を拡張させ、利尿効果を持つことが明らかとなった。エンドトキシンの循環作用についてのラットを用いた実験に関しては現在検討中である。まず予備実験において麻酔したラットにエンドトキシンを10mg/kg静脈内に投与すると一過性の著しい血圧低下が生じたのち、一時的に血圧は回復傾向を示すものの、3時間以内に致死例が増加する事を観察している。さらに詳細に循環作用部位を同定するために新規に導入された心拍出量計によって心拍出量の測定、評価を行った。本法は熱希釈法に基づいており、100ulの冷却した生理的食塩水を中心静脈内または左心室内に投与、血液の温度変化は大動脈内に留置した温度センサーにより検出する。これにより麻酔ラットの心拍出量を測定した結果、平均115ml/minで長時間にわたって心拍出量の測定が可能なことがわかった。さらにエンドトキシンを10mg/kg静脈内に投与し心拍出量を測定すると、全身血圧の低下を上回る心拍出量の低下が観察され、算出された末梢血管抵抗は増加していた。この結果からラットにおいてエンドトキシンは心拍出量を低下させることにより降圧をもたらすこと、末梢の細動脈系はむしろ収縮していることが明らかとなった。
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