1994 Fiscal Year Annual Research Report
新規強力鎮痛ペプチドとモルヒネの鎮痛作用発現機構の違い
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06672275
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
桜田 忍 東北薬科大学, 薬学部, 助教授 (30075816)
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Keywords | morphine / dermorphin / μ受容体 / μ2受容体 / 化学的侵害刺激 / 機械的侵害刺激 / naloxonazine / β-funaltraxamine |
Research Abstract |
1)dermorphin誘導体Tyr-D-Arg-Phe-β-alaおよびmorphineの作用部位を決定するために、μ受容体(μ1およびμ2受容体)拮抗薬であるβ-funaltrexamine(β-FNA)を使用して実験を行った。β-FNAを24時間前にマウスの側脳室又は脊髄腔内に処理し、その後ペプチド性鎮痛薬を皮下投与して、鎮痛効力を測定した。その結果、morphineは脊髄上位脳に作用し、脊髄内にはほとんど作用しないのに対し、ペプチドは脊髄上位脳および脊髄の二部位に作用して鎮痛作用を発揮することがことが判明した。この実験からmorphineとの作用部位の違いが明らかになった。 2)ペプチド性鎮痛薬の鎮痛作用はμ1又はμ2受容体のいずれを介して発現するか検討した。本ペプチドを脳室内および脊髄腔内に投与したところ、この鎮痛剤作用はμ1受容体拮抗薬であるnaloxonazineによって拮抗されたが、その程度は脊髄腔内投与時に著しかった。現在まで脊髄内にはμ受容体の存在は明らかではなかったが、この実験結果から、脊髄内にμ1受容体の存在と同時にμ1-agonistも見いだされたことになる。 3)morphineはすべての侵害刺激(機械刺激、化学刺激、熱刺激)を抑制するが、機械的刺激はnaloxonazineによって拮抗されず、μ2受容体を介して発揮されることが示唆された。また、化学的侵害刺激による鎮痛作用はμ1受容体の1部を介することが判明した。
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