1995 Fiscal Year Annual Research Report
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06672285
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Research Institution | The Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
芦野 洋美 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 遺伝情報研究部門, 研究員 (40222608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 真里子 (財)東京都臨床医学総合研究所, 化学療法研究部門, 研究員 (00124462)
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Keywords | 血管新生 / 血管内皮細胞 / 硫酸化多糖 / 海藻 / 管腔形成 / 血管新生阻害物質 / FGF / 遊走 |
Research Abstract |
有効な血管新生阻害物質の探索とそれによる血管新生機構の解明を課題としている。本研究は、血管新生阻害剤として可能性の高い物質を多く含有している海藻を用い、その性質と作用を検討することを目的としてきた。昨年度は、海産微細藻類から、血管新生阻害作用を有する数種の構造未解析の酸性多糖を見出すことができた。また紅藻由来ではポルフィランが、褐藻由来ではフコイダンが有効な阻害物質である可能性が示唆された。一方、硫酸化多糖が血管内皮細胞の自発的な管腔形成を阻止し、その作用点は遊走の抑制とみられ、FGF様因子による血管内皮細胞活性化の阻止と推察された。今年度は硫酸化多糖の作用点を更に詳しく検討し、また新奇硫酸化多糖及びポルフィランの構造と阻害活性の相関について、解明することを試み、以下のような結果を得た。 (1)著明な遊走抑制作用を更に厳密に検討するため、この現象の細分化した解析を試み、plateへの接着(細胞間接着を含む)が硫酸化多糖の存否で変化するかどうかを検討した。その結果、血管新生を阻害する硫酸化多糖は、細胞増殖に影響を与えない条件下で、細胞を撒くと同時に処理した場合、プレートへの接着性を促進する傾向が認められた。接着の促進によって細胞の運動能が抑制され、遊走が妨げられる可能性が考えられる。プレートを硫酸化多糖で前処理後、細胞を撒くと接着性は促進されなかった。このことから酸性多糖は血管内皮細胞間接着に関与、制御している可能性が考えられる。この可能性は、硫酸化多糖処理して管腔形成が阻害された場合、血管内皮細胞同志の接点、接触面が対照に比し全く異なり、全体として管腔形成出現の有無と結びついていることからも推定された。 (2)通常酸性多糖はかなりの高分子量であり、このような長大な物質は薬剤として用いる場合、身体で吸収されずに代謝排出されることが多く、また抗血液凝固作用がある。そのため、阻害効果のある酸性多糖の低分子化に取り組み、血管新生阻止能が保持されるかどうかを検討した。その結果、ごく小さなオリゴ糖(糖2〜4個)のポルフィラン最小構造でも血管新生阻害が認められた。低分子化したものの硫酸化多糖の存否について検討しているが、現在のところ中性の場合も活性が残っている。これについては分画中に血管新生阻害を示すような細胞毒性の成分が混在しているかどうかの検討が必要であり、その結果、如何によっては吸収の良いしかも抗血液凝固作用に影響のない血管新生阻止能の高いオリゴ糖薬剤の開発につながる可能性がある。 (3)海産微細藻類由来新奇構造未解析酸性多糖では硫酸化度と血管新生阻害活性との関与を調べた。その結果、5種微細藻類酸性多糖のうち、硫酸化度の高いひとつに強い阻害活性が認められ、硫酸化度との関与が示唆されたが、これらの糖分画はいづれも内皮細胞増殖阻止または致死活性があるので更に検討が必要である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hiromi Ashino: "Inhibition of angiogenesis by diisopropyl fluorophosphate." Recent Advances in Chemotherapy. 18. 867-868 (1994)
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[Publications] Hiromi Ashino: "Serine protease inhibitors suppress angiogenesis." International Committee on Proteolysis. 10. 132 (1994)
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[Publications] Mariko Shimamura: "Novel-type hypoxic cell radiosensitizer inhibits angiogenesis." Recent Advances in Chemotherapy. 18. 912-913 (1994)
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[Publications] Mariko Shimamura: "Actinonin, an enzyme inhibitor that inhibits angiogenesis suppresses tumor metastasis." International Committee on Proteolysis. 10. 133 (1994)
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[Publications] Hiromi Ashino: "Anti-angiogenic activity of ascorbic acid and its derivatives." Can. J. Infect. Dis.6 Suppl. C. 393 (1995)
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[Publications] Mariko Shimamura: "Suppression of tumor metastasis by enzyme inhibitor with ant-angiogenic activity." Can. J. Infect. Dis.6 Suppl. C. 298 (1995)