1994 Fiscal Year Annual Research Report
凝固因子に対するインヒビターの性状解析とインヒビターの簡易検出法開発の試み
Project/Area Number |
06672290
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
米川 修 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90158527)
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Keywords | 凝固第V因子 / 血漿プレカリクレイン / インヒビター / 骨髄腫 / マクログロブリン血症 |
Research Abstract |
血液凝固検査のデータ解析の際に、凝固因子(あるいは測定系)に対するインヒビターの存在が疑われる症例を見い出し、インヒビターの性状解析を試みた。 1.食道静脈瘤に対する食道離断術術後の症例で、凝固第V因子に対するlgG-κタイプのインヒビターを検出した。本症例は、インヒビターの出現時に血栓症を起こしており、最近のAPC resistanceの概念を考慮すると興味深く思われ,APC resistanceとの関連を解析する予定である。 2.骨髄腫の症例で、血漿プレカリクレイン(PKK)に対するlgG-κタイプのインヒビターを検出した。現在まで,PKKに対するインヒビターの出現した報告はなく、極めて珍しい症例と考えられる。凝固活性は、欠乏血漿を使用した測定系では抑制されていたが、合成基質を用いた測定系にては阻害されておらず、インヒビターは、活性中心ではなく、基質結合部位に対し働いていると推定された。線溶系には異常は認められなかった。 3.マクログロブリン血症で、インヒビター活性自体は検出されなかったが、後天性 von Willebrand病の症例を見い出すことができた。上記疾患との対比の上で興味あると思われた。 4.凝固検査データの異常から、内因系に対しインヒビターの出現しているマクログロブリン血症と思われる症例と,lgG-κタイプの良性のM蛋白を有する症例を見い出し、現在インヒビターの性状を解析中である。 凝固因子に対するインヒビターは、検査結果に異常をきたすだけでなく、出血などの臨床症状をきたすので、注意が必要である。現在、データ上インヒビターの存在を疑うシステムについて検討中である。また、インヒビターの確認試験は、繁雑であるので、その改良に向けて、今後の仕事を発展させていきたい。
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