1994 Fiscal Year Annual Research Report
基本的検査(日本臨床病理学会)に基づいた初期診療診断支援システムの開発
Project/Area Number |
06672291
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
深津 俊明 名古屋大学, 医学部, 助手 (60228864)
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Keywords | 基本的検査 / 診断支援システム |
Research Abstract |
基本的検査を用いた病態診断支援システムの構築を行った。検査項目は、尿定性試験紙検査(糖、蛋白、潜血、亜硝酸塩、エステラーゼ)、CRP、白血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数、赤血球恒数、血小板数、血清総蛋白濃度、総コレステロール、中性脂肪、AST、ALT、LDH、ALP、γ-GT、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、便潜血を用いた。診断ロジックに基づき、炎症(尿路感染、胆道感染、悪性腫瘍)、筋・心筋疾患、貧血(大球性、再生不良性、溶血性、腎性、鉄欠乏性)、骨髄増殖性疾患、腎疾患(腎炎、ネフローゼ症候群、腎機能障害、尿路結石・腫瘍)、肝・胆道疾患、糖尿病、胃腸病、骨病変(悪性腫瘍の骨転移、甲状腺機能亢進症)、高脂血症、低脂血症、高尿酸血症などの病態を設定した。さらに、各々の病態型に応じてコメントが提示され、生理的変動、考えられる病態、確定診断に必要な検査項目が示される。このシステムを、診断の確定した入院患者211例の入院時検査データに適応し、判断能力を評価した。病態型と確定診断名との一致例は、感染症で11/26例、悪性腫瘍で34/90例、筋疾患で2/17例、貧血で15/15例、骨髄増殖性疾患で2/16例、腎疾患で42/51例、糖尿病で8/14例、胃腸病で9/20例、骨病変で6/26例、高脂血症で13/13例となった。さらに外来初診患者のべ131例に適応し、初診時の診断・主訴による領域別の有所見例数を検討した。主たる疾患の判断能は比較的良好であり、さらに無症状の疾患(高脂血症型38/131例、肝・胆道疾患型29/131例、貧血型21/131例)が検出され、隠れた疾患の拾い出しに有効であった。現在、新しいコンピュータ技術であるNeural networkやFuzzy理論を応用した臓器系統別の診断支援システムの構築を試みている。
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