1994 Fiscal Year Annual Research Report
本態性高血圧患者の血圧の食塩感受性と遺伝的多型性との関連
Project/Area Number |
06672293
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大島 哲也 広島大学, 医学部, 助教授 (40233100)
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Keywords | 本態性高血圧症 / 食塩感受性 / 遺伝的多型性 / アンギオテンシン変換酵素 |
Research Abstract |
1.食塩感受性の検討 今年度10例の患者を入院とし減塩食(1日3g)および増塩食(20g)を一週間ずつ摂取させ,各食塩期の最終日に血圧を測定した。過去にかかる食塩バランス研究を行った56例から採血を行い,合計66例で遺伝的多型性を評価した。増塩による平均血圧上昇率7%以上の35例を食塩感受性群(SS),7%未満の31例を食塩非感受性群(NSS)と分類した。両群間に性、年令は有意差を認めなかった。 2.遺伝的マーカーの検討 (1)アンギオンシン変換酵素(ACE)遺伝子のintron-16に存在する捜入/欠失部位をPCRを用いて増幅しII,ID,DDの3群に分類した。各群のSS/NSSは22/10,10/14,3/7とII群でSSの比率が有意に高かった。SSでI alleleが有意に高頻度であった。(2)ハプトグロビン(HPT)蛋白澱粉ゲル電気泳動法により1-1,1-2,2-2の3型に分類した。各群のSS/NSSは3/3,14/11,14/11と有意差は認めなかった。(3)アンギオテンシノゲン(AGT)遺伝子はexon2に存在するT→C variantにつき検討したが,特異的fragmentが検出できず,現在PCRの条件を設定中である。 総括 (1)本態性高血圧の食塩感受性はHPT表現型とは関連を示さなかったが、ACE多型性とは有意の関連を示した。従来より高血圧ではD alleleが注目されていたことより今回のSSとI alleleとの関係は予想外の新知見で興味深い。 (2)今後の研究計画としてしまずAGT遺伝子の多型性の評価法を確立することを第一目標にしたい。また症例数を増やして,食塩負荷時のレニン・アンギオテンシン糸や血小板Ca動態の変化と遺伝マーカーとの関連も検討したい。
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