1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06672303
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Research Institution | Kitasato University School of Allied Health Sciences |
Principal Investigator |
小川 善資 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50152385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 啓 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (10104564)
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Keywords | 酵素反応メカニズム / アミラーゼ |
Research Abstract |
アミラーゼ活性発現のメカニズムは今だ解明されていないが、最近の研究から、タンパク質としての構造が明確になり、反応メカニズムに関しても多くの報告がなされるようになった。特に、アミラーゼの活性中心近傍に存在するヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸およびリジンなどのアミノ酸残基が深く関与することが報告されている。活性中心アミノ酸の近傍に位置するアルギニン残基に結合した塩素がヒスチジン、グルタミン酸のすぐ隣に接していることも報告されている。 反応メカニズム解明に関する多くの報告では活性中心近傍アミノ酸残基に対する化学修飾によって、活性が著しく低下することから、修飾されたアミノ酸の反応への関与を示すものや、遺伝子ポイントミューテンションによって特定のアミノ酸を別のアミノ酸に置き換えたアミラーゼを生成させ、このアミラーゼが活性を変化させることから、特定のアミノ酸の必要性を証明しようとする方法がある。しかし、この様な化学修飾やポイントミューテションでは立体構造が変化し、基質-酵素複合体の形成が困難になり活性が低下している可能性が否定できない。 我々はアミラーゼ活性発現に最も関係するアミノ酸がヒスチジンと考え、ヒスチジンへの化学修飾による失活と、この活性を復活させるアジ化ソーダの添加効果を見出した。また、活性中心より非還元末端側アミノ酸残基と特異的に結合する阻害剤の添加から、アルギニンに結合した塩素に近接したヒスチジンが加水分解反応に最も強く反応に関与していることが判明した。この様なことから、塩素による電子の放出、ヒスチジンによる基質への電子の伝達、グリコシド結合での電子の供給、グルタミン酸のカルボキシル基への水分子の結合、加水分解と続く一連の反応機序の予測を立案することが出来た。
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[Publications] 小川善資: "アミラーゼの現状と標準化" アミラーゼ. 2. 23-32 (1996)
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[Publications] 小川善資、北川由美、伊藤啓: "アミラーゼ活性測定用基質としてどのような理由でIPG7Fを開発したのか?" 生物試料分析. 18. 123-133 (1995)
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[Publications] 牧瀬淳子、尾渕美弥子、木村孝司、舟岡洋一、池谷均、小川善資: "IPG7F法の基礎検討および他法との比較" 生物試料分析. 18. 161-166 (1995)