1995 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖分解酵素の遺伝子変異による基質認識の変化とその解明
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06672311
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Research Institution | The Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
福原 幸子 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍細胞研究部門, 研究員 (10124489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 義之 東京都臨床医学総合研究所, 副所長 (90010389)
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Keywords | β-ガラクトシダーゼ / モルキオB病 / GM1ガングリオシドーシス / 遺伝子変異 / 基質認識 / Km値 / バキュロウィルス発現蛋白 |
Research Abstract |
β-ガラクトシダーゼは、糖鎖のβ-1、4 ガラクトースを切断する酵素であり、この欠損症には、GM1ガングリオシドーシス及びモルキオB病が存在する。これらの表現型の違いはその遺伝子変異により、基質の認識部位が変化しその基質の切れ残りが各々異なった臓器に蓄積されると考えられている。GM1ガングリオシドーシスでは、脳にGM1ガングリオシドが蓄積され、重篤な知能障害を引き起こす。またモルキオB病では、脳にGM1ガングリオシドは蓄積せず、尿中にケラタン硫酸の排泄がみられ、骨の病気として現われる。本年度はこれら蓄積物である天然基質がこの変異酵素によって実際切断できるかを検討した。作年度、正常及びモルキオB病由来のW273L変異酵素を、前駆体蛋白及び成熟体蛋白に分画精製したバキュロウィルス発現蛋白を用い、GM1ガングリオシド及びケラタン硫酸サッカライドの基質親和性を測定した。 天然基質のGM1ガングリオシド、ケラタン硫酸サッカライド及びアスパラギン結合型糖鎖のオリゴ糖は、NaB3H_4法によりトリチウムラベルした。蛋白とトリチウムラベルした基質をバッファー中で37℃、1時間または、16時間反応後TLCにより分離し、遊離のガラクトースをシリカゲルと共に掻き取り、シンチレーションカウンターにて測定した。その結果、1)GM1ガングリオシドの正常蛋白の前駆体及び成熟体蛋白に対するKm値は、同じく約0.3mMであったが、W273L変異の前駆体蛋白によるKm値は、約0.6mMであった。2)アスパラギン結合型糖鎖のオリゴ糖は、正常、W273L変異蛋白とも同様に切断した。3)ケラタン硫酸サッカライドに対するKm値は、正常蛋白も3mMと高く、W273L変異蛋白では、殆ど切断されなかった。これらの結果は、臨床的に脳に障害はなく尿中にケラタン硫酸が認められるという知見と発現蛋白の検討結果と一致した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Oshima, A., et al: "Intracellular processing and maturation of mutant gene products in hereditary β-galactosidase deficienccy(β-galactosidosis)" Human Genetics. 93. 109-114 (1994)
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[Publications] Ishii, N., et al.: "β-galactosidosis(Genetic β-Galactosidase Deficiency):Clinical and genetic Heterogeneity of the Skeletal Form" Developmental Brain Dysfunction. 8,. 40-50 (1995)
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[Publications] Akira Satake, et al.: "Distribution of Lysosomal Protective Protein in Human Tissues" Biochem. Biophys. Res. Commun.205. 38-43 (1994)
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[Publications] Ishii, N., et al.: "Normal Serum β-Galactosidase in Juvenile GM1 Gangliosidosis" PEDIATRIC NEUROLOGY. 10,. 317-319 (1994)
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[Publications] Ishii, N., et al.: "Clinical and molecular analysis of a japanese boy with Morquio B disease" Clinical Genetics,. 48,. 103-108 (1995,)