1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06672312
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
良村 貞子 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (10182817)
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Keywords | 助産婦 / 法的責任 / 国際 / 注意義務 |
Research Abstract |
(1)日本の助産婦の業務上の過失が問題となった判例13件を収集し,分析した。この13判例中,分娩期に助産婦の過失が問われたのは11件であり,分娩期の母児の安全を守ることの難しさを示している。最も新しい判例は平成5年3月の東京地裁判決であるが,助産婦に対して医師と同様に,分娩監視装置を使用して判断する注意義務を果たしたことが注目に値する。 その他の2件の判決では,助産所での新生児ケアに関する過失が問われ,その1件は損害賠償の支払いを命じられた。 (2)日本では保健婦助産婦看護法に助産婦の法的責任が定義づけられているが,判例上は助産学の発展とともに,その責任が厳しく問われてきているといえる。 (3)アメリカの助産婦は,看護婦よりも先に独立した職業として認められていたが,初期のアメリカの医療法はしばしば助産婦を例外条項に規定していた。1921年にSheppard-Towner Maternity Infancy Protection Actが制定され,同法は素人助産婦(lay midwife)の規制を行い,保健婦が同助産婦を監督する役割を認めたのである。 その後,アメリカでは看護婦に助産を認める立法が各州でみられるようになった。この動きはナ-ス・プラクティショナ-に関するものと同じである。 (4)その他,カナダおよびイギリスの助産婦の法的責任に関する資料を収集した。
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