1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06672318
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
泉 キヨ子 金沢大学, 医療技術短期大学部, 教授 (20115207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 裕之 金沢大学, 医学部, 助教授 (30231476)
平松 知子 金沢大学, 医療技術短期大学部, 助手 (70228815)
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Keywords | 入院老人 / 転倒 / 看護者の判断 |
Research Abstract |
【目的】 老人の転倒に関する研究では、転倒者の身体的要因や環境的要因についての報告は多いが、実際に遭遇した転倒場面を再構成して分析したものはない。そこで、転倒事例に遭遇した看護者の判断の特徴を明らかにすることによって、転倒発生を予防する手掛かりがえられると考え、本研究に着手した。 【研究方法】 1993年4月から1994年10月までに、U老人病院(ベッド数80床)に入院して転倒し、転倒時や転倒後に看護者が関わった老人患者22名(男性5名、女性17名、平均年齢80.0±7.3歳)で転倒件数51件を対象にした。方法は(1)転倒に遭遇した看護婦に転倒前にもっていた転倒者のイメージ、転倒直後の転倒者の状況、その時の看護者の思いや行動、転倒後の思いなどを中心に調査用紙に記入してもらう。(2)調査用紙から状況が描けていない部分については研究者の一人が看護者と面接を行い、確認した。(3)看護者が対象のどういう事実に目を向けていたか(認識、行動)を中心にその判断の特徴を分析した。 【結果】 51件の転倒状況から転倒事例に遭遇した看護者の判断の特徴をみてみると、転倒前のイメ‐ジとしてa.転倒を予測していなかった例,b.行動が気になっていた例に大別できた。転倒後の特徴としては、転倒前の身体状態を想起し、転倒時の身体の動きから現在の身体状態を描き直して、身体機能の再評価やケアに対しての配慮、看護婦の患者への期待などが取り出された。即ち、身体状態に着目して対処を考えたり、再発防止への漠然とした期待や反省をしていたといえる。このような傾向は、看護者が自分の位置から転倒の状況を描いていることから生じていると考えられることから、転倒事例に遭遇した時に、老人の位置から身体状態と認識および周囲の状況を描くよう努めることによって転倒予防につながる個別な配慮を見いだせるとの示唆を得た。
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