1995 Fiscal Year Annual Research Report
行動制限を受ける小児患者のストレス認知・コーピングとケア環境との関連性
Project/Area Number |
06672322
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村田 恵子 神戸大学, 医学部, 教授 (90105172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 美奈子 神戸大学, 医学部, 助手 (60273794)
草場 ヒフミ 神戸大学, 医学部, 助教授 (30153282)
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Keywords | 行動制限 / ストレス認知 / コーピング / 小児患者 / 隔離 / ケア環境 / 援助 |
Research Abstract |
本研究は、医療上の行動規制を受ける小児患者の心理的ストレスとコーピングをケア環境との関連で明らかにし、ストレス軽減と効果的コーピングを支援する方法を検討することを目的とした。平成7年度は初年度に引き続き、運動制限群のデータ収集の継続と観察(ビデオ録画を含む)結果の分析、個室への保護隔離による行動制限を要する幼児・児童18名(隔離群)を対象として、次の方法を隔離前および隔離中の2時点において実施した。小児ケア環境と生活行動に関する観察、ストレス認知とコーピング・援助に関する構成的な面接・質問紙(小児・母親)、STAI不安テスト・CDI抑欝尺度(学童以上)を実施した。これらのデータ分析の結果以下の知見が得られた。 運動規制および隔離による治療上の行動制限は、非制限時より小児の生活空間と行動範囲を縮小(ベット・病室内)し、対人関係を狭め(親・医療者のみ)、他者への自発的な関わりを有意に減少させた。一方、親の付き添い・長時間面会と医療者の接触頻度・時間・援助(生活援助・環境設定・傍にいる・傾聴・安心・励まし)の増加を示した。隔離中の小児のストレス認知は、隔離前、また親の評価より有意に多く、その主な内容は室内への拘束・仲間との接触の困難・退屈であり、これらは家族の付き添い度・援助度・対人関係の範囲と有意な負の相関が認められた。ラタ-得点・STAI不安得点・CDI抑欝得点には有意差は認められなかった。ストレスへの対処として多く用いられ、有効と認知されたコーピング行動は、テレビ・音楽、読書・描画、遊び・ゲームであった。以上の結果から治療上の行動制限による小児のストレス軽減と有効な対処を支えるためには、感覚刺激・知的創造的活動・遊びの促進と対人関係の拡大・家族の付き添い・援助を可能とするケア環境の提供が重要であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)