1994 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性老人の転倒・転落におけるケースマネージメントの研究
Project/Area Number |
06672329
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
中島 紀恵子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (90009613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 真由美 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助手 (10265093)
竹田 恵子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助手 (40265096)
北川 公子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (30224950)
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Keywords | 転倒 / 痴呆性老人 / 老人病院 / 特別養護老人ホーム |
Research Abstract |
1.目的:本研究は、長期滞在施設における痴呆性老人の転倒・転落発生状況とその要因を明かにし、転倒予防のための臨床判断、並びに病棟管理・運営のためのガイドライン作成を目的としている。 2.方法:N病院(札幌市)で用いられているMDS及びRAPsにおいて「転倒の危険性あり」と評価された101名と、Y特養ホーム痴呆性老人介護棟(千葉県)入所者45名に対し、既存記録を資料とする調査並びに事例調査を行った。 3.結果:N病院では、転倒の危険性のある者の76%が痴呆症状を合併していた。痴呆の有無別にRAPs18問題領域の該当率を比較すると、双方とも[ADLとリハビリの可能性」の該当者は90%に及ぶが、痴呆ありでは他の問題も多く、「せん妄の徴候」「視覚機能の検討」「尿失禁及び留置カテーテルの検討」「栄養状態の検討」「口腔内ケアの検討」で有意差を認めた。 Y園における調査では、過去3年6カ月のケース記録から、対象の62%が転倒を経験していた。転倒者には、重度痴呆やADL障害中等度から高度レベルの者が多かった。また歩行動作において、姿勢の傾き、歩行リズムの変調、進行方向のぶれを示す者が、転倒者に多かった。事例調査からは、日中の生活時間の80〜90%が老人の一人行動で占められ、その行動範囲はユニット全域に及ぶことが複数回確認された。しかしこのような広範な老人の行動を、介護職員の注意の届く範囲でカバーしきれていない現状もみられた。 4.まとめ:転倒に関する評価においては、痴呆の重度化の過程と関連づけながら、臨床判断の資料を評価するケースマネージメント・システムを開発する必要がある。また病棟管理においては、省スペースや重症度に応じた職員の傾斜配分の必要性が示唆された。
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