1995 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の配偶者喪失による悲嘆過程とサポートシステムの影響
Project/Area Number |
06672333
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
寺崎 明美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50163910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 泉 白百合女子大学, 文学部, 助手 (80266642)
間瀬 由記 白百合女子大学, 文学部, 助手 (60256451)
林 洋一 白百合女子大学, 文学部, 教授 (20145650)
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Keywords | 高齢者 / 配偶者喪失 / 悲嘆過程 / 対処行動 / ソーシャルサポート |
Research Abstract |
1.質問紙の修正 平成6年度のプレテストの結果に基づき、配偶者と死別した高齢者の悲嘆と対処行動、およびそれに対するサポートシステムの影響を調査するための質問項目の修正を一部行った。 2.本調査の実施 複数の医療機関、老人施設に研究への協力を依頼し、配偶者との死別後3年以内の高齢者に研究者が作成した質問紙を用いて調査を行った。対象者は55名で、男性10名、女性45名、平均年齢70.8歳、調査時における配偶者との死別後期間は5〜34ケ月、ひとり暮らしをしている者は28名であった。 3.調査結果のまとめ 本調査のデータはSPSS統計パッケージを用いて統計処理を行った。その結果、以下のような結果を得た。 (1)老人用うつスケールの得点によれば、対象者全体としては特に強いうつ傾向は認めない。 (2)悲嘆項目の分析結果によれば、配偶者との死別後の悲嘆は、時間経過とともに解決される傾向にある。 (3)頼りにしている人は物質的にも情緒的にも「子供」が圧倒的に多く、同居家族の有無による差違はない。 (4)家族と同居している人は、していない人よりもうつスケール得点は低く悲嘆過程は解決に向かっていく傾向がある。これは家族の存在がソーシャルサポートとして機能し、対象者が死別後の悲嘆を乗り越えることによい影響を与えているためと考えられる。 これらの結果より、配偶者と死別した高齢者の悲嘆過程は、子供などからの日常的、持続的な物質的、情緒的サポートによってよりスムーズに解決に向かうと考える。
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