1996 Fiscal Year Annual Research Report
施設における分娩後の母子の在院日数決定に関する研究
Project/Area Number |
06672334
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Research Institution | Saitama College of Health |
Principal Investigator |
桑名 佳代子 埼玉県立衛生短期大学, 看護学科, 講師 (70154531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 めぐみ 埼玉県立衛生短期大学, 看護学科, 助手 (50279577)
兼宗 美幸 埼玉県立衛生短期大学, 看護学科, 講師 (50214490)
渡部 尚子 埼玉県立衛生短期大学, 看護学科, 教授 (40100622)
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Keywords | 施設内分娩 / 在院日数 / 看護アセスメント / 家庭訪問 / 母親の関心度 / 継続看護 |
Research Abstract |
平成6年度の全国の病院における分娩後の母子の在院日数決定に関する実態調査から、看護者は退院後の母子の健康、育児、家庭環境に心配をもちながらも、個別的な対応にいたっていない現状が明らかとなった。そこで7・8年度は、入院中の母子の看護ニーズを把握し、退院後の状況を家庭訪問によって観察し、在院日数の妥当性と継続看護の必要性を明らかにすることを目的に調査を進めてきた。一般的な母子管理を行っている個人の診療所で分娩した母子を対象とし、看護アセスメントのリストを作成して、入院中(面接)、退院後7〜10日後(家庭訪問)、産褥1カ月(電話訪問)での状態を評価した。また母親のニーズを知るために、母親の関心を測定するtoolであるMCQ(Maternal Concerns Questionnaire)日本語版をこの3回にわたり実施した。 現在までに53例を調査した結果、看護アセスメント表による問題は、生殖器の退行性変化については93%が創部痛などの問題をもって退院しているが、訪問時にはほとんどが軽減していた。全身の退行性変化では訪問時に疲労があるものが多く、休息、睡眠が十分とれていないものが3割いた。乳汁分泌量、乳頭の状態に問題をもちながら退院するものがそれぞれ25%であるが、訪問時にもあまり改善されていなかった。自己知覚-自己概念では、出産体験が否定的、母親受容ができていないもの、ボディイメージが受容できないものに、役割-関係についても問題をもつものが多く認められ興味ある課題である。訪問時に家庭関係の調整がとれていないものが30%にみられ、経産婦の多くは上子の対応に困難を感じていた。訪問時、さらに産褥1ヶ月の時点でも、母体回復や乳房のセルフケアが適切にとれていないものが多く、これはサポート体制との関連が深かった。新生児については、訪問時に育児技術の習得度が低いと判断されたものは19%あり、とくに皮膚トラブルが多かった。母親自身の関心からも、身体回復、授乳、新生児の正常な発達などには関心が高いものの、セルフケア行動、児のからだのケアについては関心が高くない傾向が認められた。さらに、対象中の39例については、個々に入院日数が適当であったかの評価を試みた。調査施設の退院日は、ルティーンに初産、経産ともに産褥4日であるが、「適当」と判断されるものは59%であり、このなかでも継続看護の必要性が低かったものは全体の21%、家庭訪問のような援助が必要だったものは全体の39%であった。「不適」だったものは41%あり、すべて早すぎる退院だったと考えられた。 現在は個々の分析を進める一方、総合的に評価し看護の機能が発揮できるシステムを検討している。
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Research Products
(2 results)