1994 Fiscal Year Annual Research Report
成熟社会におけるマーケティング戦略と消費者行動の有り方
Project/Area Number |
06680017
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
清水 哲郎 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (40132344)
|
Keywords | マーケティング戦略 / 消費者志向 / 市場細分化戦略 / 多変量解析法 / 成熟市場 / 消費者教育 |
Research Abstract |
わが国のマーケテイング戦略は、生産活動や販売活動が重視された、いわゆる生産志向の段階から、マーケテイング理念である消費者志向の段階へと明確に推移している。とりわけ、昭和30年代には欧米先進国からさまざまなマーケテイング戦略が導入され、高度経済成長と相俟って、消費需要を噴出させ、わが国経済の市場規模を拡大していった。しかし、石油危機等いくつかの構造変化を経験して、経済社会が成熟化の段階に入ると同時に、消費者行動は多様化・個性化し、生産サイドにとって、消費者がみえない時代になった。つまり、消費者が本当に必要とするもの、消費者ニーズに適合したものを生産・販売しなければ、商品は売れない時代に入った。そこで、企業は市場細分化戦略(マーケット・セグメンテーション)に代表される消費者志向の方法で、消費者行動・意識を高度に統計解析し、特に因子分析法等の多変量解析法を用いて心理的レベルから明らかにしていった。それら、分析結果を基に、心理的レベルで消費者を操作・誘導しようとするマーケテイング戦略を展開してきた。これら心理的レベルでのマーケテイング活動が消費者に及ぼす影響、さらにT.Vや新聞等のマスメディアによる広告・宣伝効果の影響を明らかにするためビール、飲料等を対象として消費者調査を実施した。その結果、それら商品に対する消費実態、購買行動、さらには消費者ベネフィットが明らかにされ、とりわけT.Vコマーシャルの影響の大きいことが明らかとなり、マーケテイング戦略による心理的誘導・操作の実態・状況の一部が解明された。しかし、一方、成熟市場の段階では企業は消費者志向のマーケテイング戦略を取らざるをえず、このことは消費者サイドにとっては消費者主権の確率にとっては千載一遇の好機だといえる。そのためには、理想とする消費者像を、いわゆる「賢い消費者」から「行動する消費者・科学的な消費者・主体的な消費者」へとレベルアップする必要があり、消費者教育・消費者啓発の役割が従来より一層重要となることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 澤田寿々太郎: "食生活論" 化学同人, 137 (1994)
-
[Publications] 今村幸生: "新食料経済学" ミネルヴァ書房, 217 (1994)