1994 Fiscal Year Annual Research Report
ソバ粉蛋白質FE25の遺伝子クローニングと組換え遺伝子の発現
Project/Area Number |
06680024
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
宅見 賢二 愛媛大学, 教育学部, 教授 (90035428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 哲郎 徳島大学, 医学部, 助手 (20093859)
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Keywords | ソバ蛋白質 / グロブリン / 25kDaサブユニット / Sau3AI制限酵素 / λEMBL3 / 蔗糖密度勾配法 / 15〜20Kbp DNA新片 / 遺伝子ライブラリー |
Research Abstract |
遺伝子工学的技法により生物種の遺伝子組み換え体を開発するに際して、最も重要な実験起点は如何なる形質を対象とするかにある。この研究では、申請者が発見した『FE25蛋白質』-ソバ粉蛋白質固有の分子量25kDaサブユニットで、ソバ粉の全蛋白質量の約80%をしめる可溶性蛋白質唯一の主要な蛋白質であこと、アレルゲン性を持つこと、などからソバ蛋白質の構造と機能に密接に関係している-に着目し、遺伝子工学的にソバ蛋白質を形質転換し最終的にソバの品質改良を目指した。 ソバの主要蛋白質(FE25)はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)では見かけの分子量が約2、5000の単一ポリペブチドである。精製に先立ってまず該蛋白質の選択的抽出方法を検討し、最終的に0.55M尿素-2mM DTT25mM Tris-HCL緩衝液,(pH8.3)で2時間室温で攪拌し、その遠心上清を水に透析後凍結乾燥で粗画分を得た。粗画分は先ずDEAE-セフファデックスE52(0.05Mトリス塩酸緩衝液(pH8.3)を用いて食塩濃度勾配法(0.00.5M)で分画し、次いでセファローズCL 4Bと6Bの連続カラム(2.0X95cm)でゲル濾過した後、さらに調製用SDS-PHAGE(20X22X0.15cm)を用いて35kDのポリペプチドを含む断片を分離し、1%SDS-1mM DTT-25mM Tris-HCL緩衝液(pH8.3)で抽出し4倍量のアセトン添加で25kDa蛋白質を分離精製した。SDS-PAGEで精製標品が単一バンドであることを確認した。しかし 次元電気泳動法(等電点電気泳動:SDS PAGE)分析では当該EF25は少なくとも5個のポリペプチドから成る複合体で、そのうち3個は弱酸性から中性(pH57)の蛋白質、他の2個は塩基性(pH8-9)蛋白質であることが明らかになった。この予想外の事態のため急遽戦略を改めた。即ちコメ蛋白質グルテリンのcDNAクローニング法(新井と阿部、必須アミノ酸研究、122、1989)に従い、先ず完熟したソバ種子より抽出したDNAを制限酵素Sau3AIで部分消化し、定法に従い蔗糖密度勾配法により15〜20KbpのDNA断片を分離精製した。現在これらのDNA断片をファージベクターλEMBL3に挿入して 遺伝子ライブラリーを製作しつつある。目下のところスクリーニングに有効なcDNAを検索中である。
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