1995 Fiscal Year Annual Research Report
宮崎県の過疎農山漁村の高齢者の住生活と住生活文化に関する研究
Project/Area Number |
06680026
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Research Institution | Faculty of Education, Miyazaki University |
Principal Investigator |
米村 敦子 宮崎大学, 教育学部, 教授 (10167041)
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Keywords | 過疎農山漁村 / 過疎化と高齢化 / 高齢者の居住環境整備 / 住生活文化の保全 |
Research Abstract |
本研究は、過疎化と高齢化が進む宮崎県下の過疎農山漁村を対象に、住生活と住生活文化に関する調査を実施し、高齢化に対応した居住環境整備と伝統的な住生活文化の保全について検討するものである。前年度には、事前調査として統計資料・行政資料の収集と聞き取り調査を行い、高齢化問題が過疎山村に特に厳しいという現状と、高齢者向けの居住環境整備事業は始動段階で各市町村間の格差が大きく、また、住生活文化の保全対策はほとんど成されていない現状を把握した。その上で、調査対象地を、人口が最も少なく高齢化が進む、過疎地指定の児湯郡西米良村と西諸県郡須木村の両山村に選定して、65歳以上の高齢者と20歳以上の成人層を対象に調査を実施した。調査結果から、両村とも地域への愛着が強い中で、交通・道路や医療施設等の地域環境整備問題、古さや採光等の環境や水まわり設備の不便等の住宅問題が認められ、高齢者福祉としては福祉施設への期待感が強い実態がみられた。伝統文化や生活技術は両村ともに豊かであるが、今後の継承問題があり、また、伝統的な集落と住宅の文化的価値に対する認識は低い実態も明らかとなった。 次年度には、両村の伝統的な民家・・・西米良村の「米良型」住宅(主に県北西の山間部に分布する「併列型」住宅の系列に属する)と、須木村の「分棟型」住宅(主に県南西部の旧薩摩藩領に分布する)・・・の実測調査および住まい方調査を実施した。その結果、両村ともに、貴重な伝統的住宅が年々衰退と変容の現状にあり、その保全と高齢化に対応した改築法の開発とともに、緊急の記録調査と住民の再認識への広報の必要が認識された。 今後は、さらに広域的視点から、過疎化と高齢化の同時進行の中、居住環境整備と伝統的な山間部の住宅形式および住文化の保全問題を共通に有する、九州山地と紀伊山地の比較調査研究として発展させていく計画である。
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