1994 Fiscal Year Annual Research Report
佐久間象山における西洋科学技術の把握と受容-蘭書とのかかわりを中心に-
Project/Area Number |
06680077
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Research Institution | Osaka Prefectural Education Center |
Principal Investigator |
東 徹 大阪府教育センター, 科学教育部, 研究員 (30132939)
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Keywords | 佐久間象山 / 蘭学 |
Research Abstract |
本年度は、まず、佐久間象山の書簡、及び、上書稿の調査を行った。そして、佐久間象山が目を通したであろうと推定される科学技術関係や砲術関係の書物、特に蘭書のリストの作成を試みた。この調査を通して、上記のリストの作成のためには、書簡類の調査だけでは不十分であることが判明した。佐久間象山が所属していた真田藩に所蔵されていた資料等の調査も必要であることがわかった。幸い、真田家に関する膨大な記録は、現在、「真田家文書」としてまとめられつつある。そこで、本研究においては、この「真田家文書」の調査も併せて行うことにした。本年度は、とりあえず、藩籍奉還の際に真田藩自身の手によってまとめられたものから調査を開始した。また、象山記念館や真田宝物館等の協力の下に、象山が目を通したであろうと推定されるオランダ語で書かれた書物の調査についても開始した。本年度は、まず、佐久間象山がオランダ語を学び始めたとき、最初に手にした本であるKasteleijnの理化学書の調査から開始した。このKasteleijnの理化学書は3巻本とその量は膨大であり、一方、佐久間象山が読んだ箇所はそのなかの一部分であることは確かであるが、現在のところ、それがどの箇所であるかについては、十分、確定するに至っていない。このことを確定するためには、蘭書の調査と並行して、当時の蘭学者を総動員して著された「厚生新編」、及びその原本であるショメールの本などの調査を行う必要があり、この点についても、今年度、着手し始めた。さらに、佐久間象山が製作した電気治療器のルーツについても、福島の医師、江藤長俊が製作した装置との関連などについて、調査を開始した。
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