1995 Fiscal Year Annual Research Report
動作空間の認知特性に関する大脳半球優位性と脊髄運動細胞興奮性
Project/Area Number |
06680112
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
今中 國泰 東京都立大学, 理学部, 教授 (90100891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船瀬 広三 長崎大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (40173512)
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Keywords | 空間認知 / 大脳半球優位性 / 脊髄運動細胞興奮性 / 注意 / 随伴性陰性変動(CNV) / H反射 |
Research Abstract |
本研究は,これまでに既に現象としては明かとなっている手の位置決め動作における動作空間の認知特性を,神経解剖学的な交叉性支配と注意機構としての交叉性支配といった大脳半球優位性,および脊髄運動細胞興奮性(脊髄路性反射)から検討することを目的とし,特に,動作空間操作のために,神経心理学領域で頻繁に用いられてきている「90°頭部回旋法」を採用した.この方法に関して,(1)随伴性陰性変動(CNV)を指標とする注意機能における大脳半球優位性,および(2)H反射を指標とする運動細胞興奮性における頭部回旋の影響,の2点から実験的に検討し,以下の結果を得た. (1)90°頭部回旋時における大脳半球注意機能をみるために単純反応課題によるCNVを検討した.被験者は大学生18名で,パソコン画面上に警告刺激を出しその2秒後に動作手の第2指へ微弱な電気刺激を与え,それに対するマウスのキ-押し単純反応を行わせた.被験者の顔は画面方向,体幹は右または左90°,動作手は体幹正中面上という姿勢を保持させ,動作手を置く半側空間を操作した.課題遂行中のCNVの左右差をC3,C4の波形から比較したところ,画面に正対した場合は準備電位を反映するCNVが観察されたが,左右90°姿勢においては準備電位に加えて,動作空間ではなく画面方向への注意をあらわすCNV左右差がわずかに観察された.単純反応課題では動作空間への注意配分は特に強くなくても課題遂行が可能だったと考えられる.今後は選択反応課題の検討を行う予定である. (2)90°頭部回旋の脊髄運動細胞興奮性への影響を検討するために,頭部回旋後のH反射を時間経過を追って観察した.ゴニオメータ法により頭部回旋終了時点を検出しそれをトリガーとして0〜14秒まで3秒間隔の遅延電気刺激によりH反射を誘発した.その結果,H反射振幅は頭部回旋直後は安静時H反射の約150%にまで達するが,その後6〜7秒で安静レベルに収束していくことがわかった.したがって,動作空間操作のために用いる90°頭部回旋法では,回旋後6〜7秒間は回旋動作の影響が残るものと推察された. 以上の結果より,90°頭部回旋によって規定される左右半側空間における位置決め動作の反応偏向には,頭部回旋による脊髄運動細胞興奮性への動的な影響の可能性はきわめて弱いものと考えられ、他方,大脳半球注意機能の関与については,依然として明確なデータによる確証は得られなかった.さらにより左右差の観察が可能となる課題をとりあげる必要がある.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Imanaka,K.,Funase,K.& Nishihira,Y.: "Hemispace asymmetries and laterality effects in arm positioning" Brain and Cognition. 29. 232-253 (1995)
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[Publications] Imanaka,K.,Funase,K.,& Nishihira,Y.: "Reconsidering the 90°head-rotation paradigm used in neuropsychological research:Are there reflexive rather than hemispatial effects?" Neuropsychologia. 32. 569-578 (1994)
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[Publications] Funase,K.,Imanaka,K.,& Nishihira,Y.: "Inhibition of the soleus H-reflex during dorsiflexion is dependent on individual difference in maximal soleus H-reflex as a test reflex" Perceptual and Motor Skills. 82. 403-410 (1996)
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[Publications] Funase,K.,Higashi,T.,Yoshimura T.et al.: "Evident difference in the excitability of the motoneuron pool between normal subjects and patients with spasticity assessed by a new method." Neuroscience Letters. 203. 127-130 (1996)