1994 Fiscal Year Annual Research Report
中高齢者の歩行動作調整力に関するバイオメカニクス的研究
Project/Area Number |
06680126
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
金子 公宥 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (00067232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍倉 保雄 大阪体育大学, 体育学部, 助教授 (60067254)
山崎 武 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (50067237)
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Keywords | 歩行 / 高齢者 / 外的パワー / 効率 |
Research Abstract |
本研究は高齢者における自由歩行の調整能を探ることを目的として、歩行時の身体重心のエネルギー変化の分析を行った。被験者は、健康な男子33名(19-89歳)と女子70名(18-87歳)の計103名である。体育館内に埋設したフォースプレート上を「気持ちのよいスピード」で歩行(自由歩行)させ、その時の鉛直方向と水平方向の地面反力を測定するとともに歩行フォームを側方からビデオカメラで撮影した。地面反力とビデオ画像から筋活動による出力パワー(以下外的パワーと言う)と歩行中の力学的エネルギー授受の効率(以下「振子効率」という)を算出した。 以上の分析の結果、自由歩行における高齢者の動作的特徴として、1)力学的エネルギーについては、若年者では速度の速い人ほど筋活動によるエネルギーの使用量が多く、振子に見られるようなエネルギーの変換効率が低いのに対して、高齢者は、速く歩く人ほどエネルギーの使用量が多く、しかも振子のエネルギー効率も高い、2)片足支持の時間が若年者より短く、両脚支持の時間が長いことから、高齢者の方が歩行動作における不安定さが示唆される、3)歩行速度が若年者より遅く、その原因がピッチの遅さよりも主として歩幅の小ささに起因する、という結果を得た。また、振子効率の高い人は、遊脚が支持脚と交差する時間的経緯が安定しており、腰が支持脚の鉛直上方に位置したときに両脚が交差していたのに対して、振子効率の低い人は、交差の時間的経緯が不安定で、交差の時期が一定しないという特徴がみられた。
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