1994 Fiscal Year Annual Research Report
企業システムと地域システム-日本企業による日本国土再編に関する研究-
Project/Area Number |
06680147
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山口 守人 熊本大学, 文学部, 教授 (30015581)
|
Keywords | 企業システム / 地域システム / 経営戦略 / 系列 / 企業グループ / 地域的集積 / 産業構造 / 立地理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「戦後処理期」以降の日本工業の地域的展開を「企業システム」による「空間の組織化」、すなわち「地域のシステム」化であることを実証することにある。今年度までに、「戦後処理期」(昭和22年)、「経済発展期」(昭和35年)、「高度成長期」(昭和44年)ならびに「安定成長期」(昭和59年)のそれぞれの時期に属する代表的な年次における日本工業の地域的展開を、相互に比較可能な地域的単位で把握し終え、そのうちの前半の2期分については、その概要をそれぞれ20,000字前後で公刊しており、後半の2期分についても既に脱稿を終了し、投稿直前の段階にある。ここまでの作業を経て明らかになってきたことは、産業構造の転換と日本工業の地域的展開との間に、空間社会の性格を介し、独特の動きのあることが浮び上がってきた。その動きを詳びらかにして行くことが、『有価証券報告書』を原資料とする明年度(平成7年度)の解析作業の目的になるのであるが、若干の予測を踏まえて、この動きを概述すると、先ず、国家的プロジェクトに照応するかたちで展開する主に大企業を後楯とする日本工業の地域的展開があり、この動向に連動するかたちで、その立地を他律的に変える主に中小企業からなる日本工業の地域的展開もある。逆に、工業の地域的集積そのものは大きく増えないまでも、その工業的内容を変質させながら、日本工業の地域的展開の中で、明確にその存在を維持してきている主として中小零細企業から成るものもある。もちろん、消滅していったものもあり、これらも含めた日本工業の地域的展開とその変容の中に、「企業システム」に潜む経営ならびに経済原理が、空間ならびに社会を如何に内包し、いわゆる「地域のシステム」を構築してきたかが、本研究の求めるものになる。今年度末から着手した「企業グループ」あるいは「系列」単位ごとの傘下企業の「本社」・「支社」「営業所」・「研究所」・「工場」などの所在地、従業員規模、取扱あるいは生産品目」ほかの時系列的把握は、まさに、上記の求めるものへの接近の姿である。
|
Research Products
(2 results)