1994 Fiscal Year Annual Research Report
日本の湖の水収支特性とその類型化に関する自然地理学的研究
Project/Area Number |
06680160
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
森 和紀 三重大学, 教育学部, 教授 (60024494)
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Keywords | 湖沼 / 水収支 / 閉塞湖 / 地下水漏出 / 降水量 / 蒸発散量 |
Research Abstract |
わが国に分布する湖沼の中で湖盆の成因が火山に関係する湖を対象に、涵養と流出の機構が異なる二つの型について水収支の算定を行った。 1.表面流出を持たない閉塞湖(浸透湖と定義すべきであるが広義の意)の典型的な事例として,倶多楽湖と池田湖の両カルデラ湖を取り上げ,地下水漏出によって特徴づけられる水収支特性を明らかにした。これらの湖沼では,湖周辺における湧泉の存在や河川水温の特異性からも判断されるように,湖盆壁からの湖水の浸透によって湖水位の調節が行われている。湖の水収支に基づく分類からは,「降水-地下水流出」型に類型化される。 2.溶岩による堰止め湖の例である日光湯ノ湖についても水収支の各要素に関する資料の収集を行い,涵養と流出の機構を定量的に明らかにした。「地下水流入-河川水流出」型に類型化される火山流域の湖沼においては,比流量から判断して地形的分水界により定められる流域を越えた地域からの地下水流入(湖底への湧出)のある点が特徴である。 3.湖の水収支を算定する上で基礎資料となる流域の面積降水量と面積蒸発散量については,月降水量と月平均気温に関する平年値を約1km^2単位の区画(国土基準メッシュ)ごとに入手することのできるメッシュ気候値の利用が有効である。
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