Research Abstract |
初任教師がどのようにして授業力量を形成していくのかといった「授業力量の形成過程」を明らかにするために,次の2つの研究を行った。 1つは,初任教師を対象とする面接調査である。調査対象となったのは,つくば市の公立小学校に勤務している男性教師1名と女性教師1名,計2名の初任教師である。それらの教師には,平成6年度の1学期と2学期にそれぞれ2回ずつ,さらに3学期に1回,合計5回の面接調査を行った。1回の面接時間は,1〜2時間であった。その結果,(1)子どもに対する見方に変化がみられた。つまり,子どもの良い点だけを見ていた教育実習とは違って,子どもの問題点にも目を向けるようになるとともに,子どもの個人差を意識するようになってきている。(2)1時間(本時)レベルの授業設計から単元レベルを見通した授業設計を意識するようになってきている,(3)教科書会社の指導書が例示している授業案に専ら依存している,(4)授業における子どもの反応が少しずつ予想できるようになってきている,(5)学級経営と授業とを統合する標準的な手続ルーチンの必要性を考えるようになってきている,などが見出された。 もう1つは,初任教師を対象とする質問紙調査である。調査対象となったのは,5つの県(茨城,埼玉,群馬,徳島,愛媛)の小学校に勤務する初任教師150名であった。なお,調査にあたって,「あなたの1年間の教職経験をふりかえって、各学期における,A(子ども観・授業観),B(授業設計),C(授業実施),D(授業評価・学級経営)の主な特徴を具体的に書いて下さい」という指示のもとで,AからDの項目について自由記述を求めた。現在,それらの調査資料を分析中である。
|