1994 Fiscal Year Annual Research Report
説明的文章の読解に関わる児童の認知発達過程の解明とそれにもとづく国語科教材の開発
Project/Area Number |
06680239
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
岩永 正史 山梨大学, 教育学部, 助教授 (00223412)
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Keywords | 国語科教育 / 説明文教材 / 読解指導 / 教材研究 / 学習者研究 / 認知発達 / スキーマ理論 / 説明文スキーマ |
Research Abstract |
平成6年度には、標記研究課題に関わって、下記の1〜3の研究が行われた。 1 児童の説明文読解過程の分析 小学校2年生を対象に、「一人読み」の場面で児童が説明文のどんな部分にどう反応しながら読んでいるのか調査した。その結果、次の4点が明らかになった。 (1)通常、指導の目標とされる事柄(2年生では「順序を考えながら、内容を読み取ること」)と異なる部分で児童は内容の読み取りにつまづいている。 (2)つまずきは、児童の既有知識との齟齬が大きい部分で起こる。 (3)つまずきが起こる原因は、児童が物語の読みと同様に、説明文中に登場するもの(この場合はつばめの雛)に同化し、共感的に理解しようとするためである。 (4)つまずきが生じた場合、児童は、文章を自分の既有知識との齟齬が生じないように変形して理解しようとする。 2 説明文に関する児童の読書環境の調査 就学前の幼時向け月刊誌と小学校1年生の入門期に扱われる説明文とを対象に調査した。その結果、幼児読みものは、1年生の教材に比して高度な展開構造で、かつ文章も長いものだった。また、1年生の教材は、展開構造から見ると、幼児が多く触れている物語との類似性が見られるもの、高学年で扱われる教材への発展性があるもの、従来からある書き手の判断を直接的に述べるもの、の三つに分類されることが明らかになった。 3 児童の説明文スキーマの発達調査 上記2の結果をもとに、調査問題を作成し、山梨県内の3校で小学校1、4年生、中学校1、2、3年生を対象に説明文スキーマの発達調査を行った。現在小学校を対象にした範囲での分析を進めている。
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Research Products
(1 results)