1995 Fiscal Year Annual Research Report
戦前の英語教科書の使用語彙に関する歴史的・実証的研究
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06680249
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Research Institution | HIROSIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三浦 省五 広島大学, 教育学部, 教授 (40033576)
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Keywords | 英語教育 / 語彙選択 / 語彙教育 / 英語教科書 |
Research Abstract |
本研究は、平成6年度から7年度に継続する2年計画で、本年は最終年度である。戦前の英語教科書としてどれを選択するかは大きな問題であったが、『英語教科書名著選集』(大空社、全30巻)を購入し、その中から、その教科書使用当時、多数使用されたと思われる教科書を選択し基礎資料とした。予算の許す限り多くの資料を選択しコンピュータ入力のデータを作成した。スキャナーを利用して入力するより、予算の範囲内で商業ベースで入力データを作成した方がデータの信頼性が高いことがわかった。入力した教科書は、明治期の『National Readers』『正則文部省英語読本』『The Globe Readers』『New English Drill Books』や、大正期の『International Readers』、『Kanda's Crown Readers』、『Girls' New Taisho Readers』、昭和期の『The Standard English Readers』および『英語』の9種類で、汎用電子計算機(HITACM680/180E)で分析用語彙リストを作成し、語彙の頻度等を調査した。 新しい知見として、(1)これら戦前の教科書に現れる総語数は、1種類平均32,600語程度であるが、最近の教科書では、8,000語程度であること、(29現在使用されているSunshine English Courseなどは、戦前の教科書の2分の1〜5分の1程度しか語彙を含んでおらず、また、総異語数の観点から見ると、Sunshine English Courseは、戦前の教科書の10分の7〜10分の3程度しか教えていないことになる。また、平均何語ごとに新語が出てくるかに関しては、例えば、Sunshine English Courseは5.57語と最も難しく、『正則文部省英語読本』は、15.24語に1語の割合で出現することになる。従って、分量の少ないSunshine English Courseの方が、分量の多い『正則文部省英語読本』より難しい教科書との印象を受けるのではないだろうか。国際理解とコミュニケーションを標榜する現代の英語教育において、語彙の問題を今後も考察していきたい。
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