1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06680252
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小原 友行 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (80127927)
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Keywords | 近代歴史教育 / 歴史授業論 / 小学校教則大綱 / 本荘太一郎 / 教育的歴史 / ヘルバルト主義教授法 |
Research Abstract |
本研究の目的は,わが国の明治期における近代歴史教育の成立・展開過程を,準備期(明治5年〜13年),成立期(明治13年〜23年),確立期(明治23年〜33年),完成期(明治33年〜45年)の4期に時期区分を行い,各時期の歴史教育関係の文献収集に基づいて,各時期の歴史授業論の構造を系統的に解明していくことである。 平成7年度の研究では,そのうちの確立期(明治23年〜33年)に焦点をあてて,確立期の歴史教育関係の文献・資料の調査・収集,文献・資料に基づく確立期の歴史教育実践と歴史授業論の分析,分析結果に基づく確立期の歴史授業論の特質の抽出とその歴史的評価,以上の3点について研究を行った。 平成7年度の研究の結果として,次の3つの知見が得られた。第1は,目標論・内容構成論・授業方法論が一貫した歴史授業論の確立とその実践化という確立期の課題に応えるために,小学校教則大綱による「国民タルノ志操ヲ養フ」という道徳性を重視した歴史教育目標論,人物中心による歴史内容構成論,ヘルバルト主義5段階教授法による歴史教授方法論が提起されていたこと。第2は,それらを統合した「教育的歴史」による歴史授業論がこの時期に確立していること。その代表的な人物は,本荘太一郎であり,この時期の人物中心の歴史教育実践は,「教育的歴史」による歴史授業論によって説明することができること。第3は,確立期の歴史授業論の特質は,道徳教育としての歴史教育,規範としての歴史教育,国家主義的歴史教育であったこと。 なお,確立期の歴史授業論の歴史的評価については,明治期全体を考察した後に再度行うことが必要であるため,この問題についての考察は,平成8年度の研究において,さらに補っていきたい。
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